2006年06月21日

光市母子殺人事件で最高裁判決。「死刑回避は著しく正義に反する」と下級審批判

それにしても、大きなニュースになりましたね。山口県光市母子殺人事件の最高裁判決。

事件の中身を聞けば、今回の判決について、みんな異口同音に言うはずです。

「当然の判決だ」と。


光市の母子殺害、無期懲役を破棄・差し戻し…最高裁

 山口県光市で1999年に起きた母子殺害事件で、殺人や強姦致死などの罪に問われ、1、2審で無期懲役の判決を受けた元会社員(25)(犯行時18歳)に対する上告審判決が20日、最高裁第3小法廷であった。
 浜田邦夫裁判長(退官のため上田豊三裁判官が代読)は、「計画性のなさや少年だったことを理由に死刑を回避した2審判決の量刑は甚だしく不当で、破棄しなければ著しく正義に反する」と述べ、広島高裁判決を破棄し、審理を差し戻した。
 同高裁で改めて審理されるが、元会社員に死刑判決が言い渡される可能性が極めて高くなった。
 2審の無期懲役判決を、最高裁が破棄したのは、4人を射殺した永山則夫・元死刑囚(97年に死刑執行)に対する83年の判決を含めて戦後3例目。犯行時に未成年だったことが死刑回避の決定的な理由にならないとした判断は、少年による重大事件での量刑判断に大きな影響を与えそうだ。
(読売新聞) - 6月20日20時42分更新



ちなみに、今回の最高裁判決はすでに、最高裁のホームページにアップされていますので(PDFファイルですが)、良かったら参照してみて下さい。

事件番号 平成14(あ)730
事件名 殺人,強姦致死,窃盗被告事件
裁判年月日 平成18年06月20日
法廷名 最高裁判所第三小法廷



この事件は、以前のエントリ「『裁判官が日本を滅ぼす』(門田隆将著、新潮文庫)」の本の中でも紹介されている事件です。

多くのマスコミでも取り上げられていますが、この事件について整理します。

事件は1999年4月、光市のアパートに18歳のクソガキが押し入り、23歳の女性を強姦しようとしました。女性は抵抗したため、クソガキは女性の首を絞めて殺害し、その上で陵辱(屍姦)しました。
そして、11カ月の女の子が泣き出したため、黙らせるために体を持ち上げて床にたたきつけました。女の子がお母さんのところへもう一度、這っていこうとしたため、クソガキはひもで女の子の首を絞めてとどめを刺します。ぐったりしたところで首のひもを蝶結びしました。
さらに犯行発覚を免れるため、女性の遺体を押し入れに、女の子の遺体を押し入れの天袋に投げ入れ、逃げました。
しかも、ご丁寧に泥棒まで働き、奪った地域振興券(懐かしいですな)を友人に見せびらかしたほか、この券でゲームを購入しました。

犯行から4日後に逮捕された、このクソガキの名は福田孝行。当時少年だった、ということで25歳になった今も実名報道はされていません。


少年事件だったことから、福田は一度、家裁で審判を受け、「刑事処分相当」として逆送となって、山口地裁に起訴されました。

検察側の死刑求刑に対し、一審山口地裁、二審の広島高裁は「無期懲役」を言い渡しました。

判決理由は

●殺害は事前に計画されたとは認めがたい
●一応の反省の情が芽生えるに至っている
●矯正教育による改善更生の可能性がないとはいい難い
●犯行の態様、遺族の被害感情、被告人の年齢などを総合し、無期が妥当


という内容です。
ちなみに、少年の無期懲役は7年で仮出獄が可能です。これほどの極悪非道、残虐の限りを尽くした男が、わずか7年で社会復帰OK。それが裁判所の判断でした。


ところで、福田は一審で無期懲役になったあと、友人に手紙を送っていますが、この手紙がすさまじい内容でした。一部を紹介します。


「選ばれし人間は人類のため社会道徳を踏み外し、悪さをする権利がある」

「まあとにかくだ。二週間後に検事のほうが控訴しなければ終わるよ。長かったな・・・友と別れ、また出会い、またわかれ・・・(中略)心はブルー、外見はハッピー、しかも今はロン毛もハゲチャビン!マジよ!」

「ま、しゃーないですね今更。被害者さんのことですやろ?知ってます。ありゃー調子付いてると僕もね、思うとりました。・・・でも記事にして、ちーとでも、気分が晴れてくれるんなら好きにしてやりたいし」

「知ある者、表に出すぎる者は嫌われる。(被害者の夫・父)は出すぎてしまった。私よりかしこい。だが、もう勝った。終始笑うは悪なのが今の世だ。ヤクザはツラで逃げ、馬鹿(ジャンキー)は精神病で逃げ、私は環境のせいにして逃げるのだよ、アケチ君」

「オイラは、一人の弁ちゃんで、最後まで罪が重くて「死」が近くても「信じる」心をもって、行く。そして、勝って修行、出て頭を下げる。そして晴れて「人間」さ。オレの野望は小説家。へへ」

「五年+仮で8年は行くよ。どっちにしてもオレ自身、刑務所のげんじょーにきょうみあるし、速く出たくもない。キタナイ外へ出る時は、完全究極体で出たい。じゃないと二度目のぎせい者が出るかも」



…これらの手紙は、控訴審で検察側が証拠提出しています。「どこが反省してるんじゃ、(゚Д゚)ゴルァ」と。

この手紙を見ても、広島高裁は「反省の情が芽生えている」「更生の可能性がないとは言えない」と判断しました。


脳みそが膿んでいるのか? 当時広島高裁の重吉孝一郎裁判長さんよ。おまい、最高裁判事に上がってきたら、国民審査で絶対罷免されるぞ!

ふざけるな!検察側は上告し、そして昨日の判決になったわけです。




昨日の判決の主文は「原判決を破棄する。本件を広島高等裁判所に差し戻す。」という内容です。

判決は「検察官の上告趣意は,判例違反をいう点を含め,実質は量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。」と書き出します。何を言い出すのかと思ったら、「しかしながら,所論にかんがみ職権をもって調査すると,原判決は破棄を免れない。」と続けました。

事件概要を検討した上で、「被告人の罪責は誠に重大であって,特に酌量すべき事情がない限り,死刑の選択をするほかないものといわざるを得ない」(そんなもん分かり切ってるがな)とし、次に「特に酌量する事情」について検討を加えました。

その結果、「内省を深めているとは思えない」とし、年齢や計画性のなさなども「死刑回避を相当とするような特に有利に酌むべき事情と評価するには足りない」とし、一・二審判決について「量刑に当たって考慮すべき事実の評価を誤った結果,死刑の選択を回避するに足りる特に酌量すべき事情の存否について審理を尽くすことなく,被告人を無期懲役に処した第1審判決の量刑を是認したものであって,その刑の量定は甚だしく不当であり,これを破棄しなければ著しく正義に反する」と結論づけています。

まあ、当然の判断ですね。この判決にかかわった濱田邦夫(裁判長)上田豊三、藤田宙靖、堀籠幸男の4人の名前をしっかり覚えておきましょう。



ところで、マスコミでは「なぜ、破棄自判しなかったのか」という論調も見られます。被害者遺族の方もそうおっしゃっています。

「破棄自判」とは、上級審が下級審の判断にダメ出しし、改めて自分で判決を言い渡すことです。今回の場合、破棄自判なら主文は「原判決を破棄する。被告人を死刑に処する」となります。

なぜ、今回の最高裁が、判決理由で事実上「死刑相当」といっているのに、主文で「死刑」の宣告をしなかったのか。

私が考えるに理由は2つあると思います。


一つは証拠判断の問題です。

最高裁は頭の固い役所です。「憲法違反」「法令違反」など以外の上告は、受け付けないという高飛車な裁判所です。しかも、当事者の代理人以外の出廷を認めないという傲慢ぶり。(刑事被告人の出廷はありません)証拠調べなど行いません。
今の刑事司法で死刑判決を出す場合、証拠に基づいて「死刑回避理由がない」ことを理屈づけないといけない暗黙のルールがあります。今回の最高裁は「この程度の証拠じゃ、死刑回避理由にならないよ」と言ったわけですが、「ほかにまだ、回避理由があるかもしれない」とも考えたのだと思います。しかし、最高裁では何があっても証拠調べはしない。だから、「死刑」の完璧を期すため、証拠調べが可能な高裁レベルに審理を差し戻したのです。いわば、弁護側に最後のチャンスを与え、「死刑回避理由となる証拠を出せるモノなら出してみろ」と突き付けたわけです。


もう一つは覚悟の問題ですね。

最高裁はこれまで、破棄自判での死刑判決を言い渡したことはありません。コレを一例目とすることにビビった、と。
また、ここで破棄自判すれば、現在の死刑判決の基準となっている「永山判決」を上回る「判例」となる。今後の死刑判決はコレをスタンダードとしてしまう。新しい判例を作ることに裁判長たちが躊躇した、とも言えます。


いずれにせよ、司法判断はまた、先送りされました。次の高裁では「死刑回避理由」についてのみの審理が行われます。(「殺意」などの事実については争わない)

あまり時間はかからないと思いますが、早く結論を導いて、遺族の方を楽にしてあげたい。そう思うのです。



ところで、福田の父がテレビに出て「罪を憎んで人を憎まず。少年法でしょ。何で死刑なのよ」みたいなことを言ってました。


開いた口がふさがらなかったわけですが、もし、自分の息子が同じ事件を起こしたとしたら、そして、自分の息子の味方が誰もおらず、父親の自分だけだったら…。同じことを言うのかなぁ…。

いや、私はきっぱりと言うでしょう。


「人として決してやってはいけないことをしたのだから、人としてその命を持って償いなさい。その命がある限り、事件と向き合い、反省し、被害者の冥福を祈りなさい。365日、24時間、謝罪の気持ちで過ごしなさい。私も同じ時間を過ごそう」と。


厳しいでしょうか…


<今朝の一曲>チェッカーズ「ギザギザハートの子守唄」


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posted by こめろんぐ at 13:51 | Comment(11) | TrackBack(0) | ニュースに一言! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
オイラもこの事件は気になっていました。
結果、ご遺族にとってよい方向に向かってくれるといいですネ。

一方、親心としては…自分に置き換えて考えてみたとき(それまでの親子関係にもよりますが)事件や、被害者のご家族や、息子や自分にどう接するかは…
まったく自信がないですね。
Posted by カンジ at 2006年06月21日 20:51
しかし、人としての感情やココロとは?裁判所っていったい、何をしてるんですか?裁判所を裁きたいくらいですね!説教してやらないと^^♪、、、とにかく、「濱田邦夫(裁判長)上田豊三、藤田宙靖、堀籠幸男」はしっかり覚えておかないと!!ですね
Posted by silverfox1701 at 2006年06月22日 00:16
こんばんは☆

僕は破棄自判の説明以後の文章が興味深かったですね
事件についてはコメントすることがありません
殺人事件も殺人事件の報道や記事も好きじゃない
強い負の言葉が溢れているから

>silverfox1701さん
気になったら、機会があるときにでも
裁判所見学に行かれるといいと思いますよ
現時点で、僕は本当に一部の情報しか提供されていないし
自分の眼で確認を取ったわけでもないので
名前の上がった4人の裁判官に対して
国民審査でもチェックをつけないだろうと思います
Posted by あおい at 2006年06月22日 01:20
おはようございます
最高裁の判断は、現行の制度では十分予想できたことでしょうね。その中で、よりまともな判断をしたと思います。
 自分が親の立場で自分の子供が同様の犯罪を犯したとしたら…そんな風に育ててしまった自分に狼狽えることでしょう。子供も自分も、人として許せないですね。
Posted by ビートニク at 2006年06月22日 06:59
判決云々には、敢えて何も言う事は有りませんが、
この親にしてこの子有りですね。
親として、いや人としておかしいですよね。
我が子をかばう・・・ってのとは違いますし、こんな事言うとアレですが・・・・・・、
えと、

親子共々、基地の外?
(_ _;)
Posted by ジムカニアン at 2006年06月22日 07:14
カンジさん>こんにちは。
やっぱ、子を持つ親ならこの事件は気になりますよね。
もし自分の息子がこのような事件を起こしたら…、ここではえらそうなことを書きましたが、私も実は自信がありません(^_^; ただ、自分の息子はここまでアホではないと信じています。

silverfox1701さん>どもです。
一応、裁判所は一般に明らかになっていないことも見て判断はしているのですが、それでも「お前、アホか」というような判断をすることもあります。
広島高裁は、あの手紙を見てもなお、「反省の情が芽生え始めている」というのですから、あきれてものが言えないというのが私の感想です。
むしろ、「2人死亡だから死刑は言えない仕組みなの。だから無期よ」と言ったほうが説得力がありますよね。言えないんでしょうけど。

あおいさん>こんにちは。
確かに、こういった事件報道は「負」の感情がむき出しになります。書き手が負の現場しか見てないんですから、そうならざるを得ません。
こうした報道を私は否定はしませんが、「負の現場」に何か救いを見いだすことはできないのか。そんなことをたまに考えたりします。

ビートニクさん>どもです。
カンジさんへのコメントでも触れましたが、私もやっぱ自信がないです。そして、そんな風に育ててしまった自分自身を責め立てるでしょうね。きっと。それが普通の親なんですよ。うんうん。

ジムカニアンさん>こんにちは。
テレビでのコメントを見る限り、同感ですが、息子があんな事件を起こして、親自身が壊れてしまったのかもしれませんし…そういう「基地の外」ということもあるのかなと(^_^;
Posted by こめろんぐ at 2006年06月22日 13:21
こめろんぐが、高くギザギザハートなどを強姦しなかった。


Posted by BlogPetのまめろんぐ at 2006年06月22日 15:26
まめろんぐ>これこれ、なんつーことを(爆)
Posted by こめろんぐ at 2006年06月22日 17:11
あらあら、まめろんぐったら!^^!日本語ってむつかしい〜〜
Posted by silverfox1701 at 2006年06月23日 03:53
かなり遅レスですが^^;
俺が18の時人を殺しちゃイケナイ事は分かってたし、女とヤリたいからってやっちゃイケナイのも分かってた。
(心の)成長に差があったとしても分かるだろう?普通さ。
最悪間違って殺しちゃっても、自分が死刑にはならない事も知ってたけど、普通の人だったらやらないと思う。
普通じゃないからやる訳だし今更修正不可能だよね。
何が言いたいかって?
福田親子には償ってもらえって事だよw
馬鹿セガレには命で、馬鹿親父には金で。
あんなクソガキ育てた親も親だしね。死刑が回避できそうになったらテレビに出るようなクソ親父も死刑で良い気もするけどね。
長文で乱文失礼しました^^;
Posted by コンチ at 2006年06月24日 12:59
silverfox1701さん>どもです♪
どうやら、ウチのブログペットは飼い主に似て、暴言を吐くようになってきたようです(>_<)

コンチさん>こんにちは。
まあ、犯罪というのは、基本的に普通じゃない人が起こすのだと思います。そして、それに対して刑事責任を取るのが当たり前、とされているのが日本社会です。
今回の事件は少年だから、ということを特別事情と見ようとした下級審に問題があったのは間違いないようです。最高裁もそう、断じました。
差し戻し審でどんな審理が行われるのか、きちんと見守りたいと思います。
Posted by こめろんぐ at 2006年06月24日 14:56
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