2006年09月19日

交通事故の裁判

飲酒運転による事故が大きくクローズアップされています。

どうも、マスコミ報道は「公務員による飲酒運転はけしからん」調ですが、私はいろんな交通事故の裁判を傍聴するにつれ、「飲酒運転は人として許されん!」と思うようになっています。

ここで白状しますが、私は学生時代、飲酒運転の常習犯でした。まあ、世の中をなめきっていましたし、自分自身を過信していましたね。「これくらいの酔いなら運転しても大丈夫」「むしろ、目が冴えていいくらいだ」など。
で、運転をて「こりゃヤベェ。このままだったら事故る」と思って、ヒヤヒヤしながら徐行運転して帰ったことも。よく無事だったなあ。オイラ。

ハイ、反省してます。もう二度としません。

さて、交通事故の裁判の話に戻ります。

ケース1 横断歩道の自転車をはねた事故     

多くの交通事故では、加害運転手の「刑事責任」を問う刑事裁判と、「賠償責任」を追求する民事裁判の2つが行われることになります。ただ、刑事裁判で正式裁判になるのはその事故の数に比して多くありません。民事もさほど多くありません。なぜか。

加害運転手が誠心誠意、謝罪して心の底から反省し、被害者側がそれを受け入れたとき、刑事裁判はたいてい「起訴猶予」か、「略式起訴(罰金刑)」で終わってしまうからです。民事も、保険会社が間に入って示談すれば、裁判ざたになりません。

従って、裁判所で取り上げる交通事故の裁判は、「悪質な交通事故」「運転手の誠意のなさ」などが際だったものばかりです。それの数としてみれば、世の中、悪質な交通事故が多すぎる!と痛感します。


刑事裁判の場合、交通事故は罪名が「業務上過失致死」(または業務上過失傷害)と「道交法違反」がくっついたものが多いです。中には「業務上過失致死」のみの場合もあります。また、数は多くないですが「危険運転致死傷」の罪名のものもあります。過度の飲酒、猛スピード、えぐい信号無視などのケースで適用されます。




その事故は、信号に従って横断歩道を自転車で渡り始めた50代男性が、左折してきた車にはねられ、死亡したというもの。(巻き込み事故です)運転手は近くの大学の先生でした。その先生が業務上過失致死罪に問われていました。

検察側の証人として証言台に立ったのは、被害者の妻。「事故後、一度挨拶に来たのみで、謝罪はない。その後49日にも来ない。線香を上げたことすらない」「事故の説明をしてくれといっても、『あまり記憶がない。夫が突然飛び出した』などというばかり」など、加害者の誠意のなさを涙交じりに語りました。そして「刑務所に入ってほしい」とも言いました。(こんなことを言わせる検察側もいかがなものかと思いますが)

その後、被告人質問にたった大学の先生は、「左を確認して左折したが、突然視界に自転車が飛び込んできた。ブレーキをかけたが間に合わなかった。突然の出来事で対応しきれなかった」と弁解しました。
検察官が「あなたは被害者遺族になぜ、事故の説明をちゃんとしなかったのか」「なぜその後、線香を上げに行ったりしないのか」ときくと、大学の先生は

 「事故について率直に自分の記憶のままに語らなければならないと思った」
 「顔も見たくないと言われたので、保険屋と相談し、遺族の感情を害してはいけないと思ってその後、行かなかった」
 「手紙は送ったが、返事がなかったので…」

この先生、ε-( ̄ヘ ̄)┌ ダミダコリャ…。と思いましたね。


そりゃあ、自分にとっても突然の事故だったかもしれませんよ。信号を無視したわけでもなく、スピードも出していなかったんだから。

でもね。


相手も、交通ルールを守って事故に遭い、その結果死亡したんだよ。わかってる?

交通事故で亡くなるほど理不尽な死に方はありませんよ。自分は何も悪くないのに、突然命を奪われるんだから。

生きてる方がつっけんどんな対応をしたら、どうなのよ? そりゃ、怒るだろうよ。

会いたくないと思われたって、自分のせいで亡くなった方に、線香を上げてお参りしたい、謝罪したい、という気持ちがわくのは、日本人として当然の感情だろ。保険会社の忠告を受けたから、その気持ちを押し殺しました、なんて、被害者遺族には言い訳にもなりません。そこを加害者である大学の先生には考えてほしかった。


この先生、

「記憶がないことは記憶にないとしか言えない。正直に言うことが誠意だと思っていた」

とも語りました。

そりゃ、学問ならそうだろうよ。でも、相手を殺してるんだぜ? 過失とはいえ。でもその理屈は「加害者」の理屈であって、被害者側にはなんの関係もない。そこを推し量れないようでは…人としてダメだろ。

そんな思いを抱きました。


この先生、執行猶予付きの有罪判決が出ました。まあ、罰金刑より重かったのはいいんですが、これで反省しますかねぇ。よくわかりません。ただ、判決後の、先生のホッとした表情がむかつきました。




ケース2 信号無視しようとして対向車線を突っ走り、対向車と正面衝突     

これは危険運転致傷で起訴されていたケースです。

その交差点ではすでに、赤信号待ちの車が長い列を作っていました。男は後ろに並ぼうとしました。

で、この男。急いでいたのか、信号を待つのがウザくなり、対向車線を走って、待っている車の前に出ようとしました。よくあわば、そのまま信号無視をして突っ走ろうと考えたようです。

そして、対向車線を時速20キロで走り、もうちょっとで交差点、というところで、青信号に従って交差点を左折してきた車と正面衝突。相手運転手に胸骨骨折などのけがを負わせたというものです。

この文章だけだとわかりにくいでしょうか。


____」   ___
           被害者→←男
--------      ----------------
             ←信号待ちの車
 ̄ ̄ ̄ ̄¬    Γ ̄ ̄ ̄ ̄



被害者は青信号に従い、AからX方向に左折しました。男は赤信号を無視し、対向車線を突っ走っていて、X地点まで進み、衝突しました。


で、この男、裁判では何を思ったか「自分はスピードをそんなに出しておらず、危険運転罪には当たらない!」と主張したのです。

対向車線とはいえ、気をつけて徐行運転していたから、「ことさら危険な速度で運転していない」ということのようですが…


故意に対向車線を走ること自体、


十分危険運転だよ!大馬鹿野郎!



少ない傍聴席からは、そんなオーラが漂いました。もちろん、こいつは被害者への謝罪などしてません。突然、左折してきた奴が悪い、と言わんばかりの態度でした。


こーゆーやつが車を運転していること自体、だめだろ。でも、実際いますよね。どう考えても危険な運転を繰り返す馬鹿。


事故を起こしても反省しないで、また事故を繰り返している。この運転手も過去に、「信号無視」「飲酒」「速度違反」の違反歴が過去5年間にありました。その3つが重なった段階で、免許取り消しで良いと思うんですが、そーなったら、こいつは無免許運転するんだろうなぁ…。それくらい、ダメな奴でした。


もちろん、こいつは実刑を食らいましたよ。当然です。

もう、一生運転ほしくないですね。社会の迷惑です。そう思いました。




今回は、私が見た交通事故の裁判のごく一部を書いてみました。


リクエストがあればまた、書きますが…読めば読むほど不快になること間違いなしです(^_^;


komelong_01-160.gif


posted by こめろんぐ at 11:54 | Comment(6) | TrackBack(0) | 実録!?裁判傍聴日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。
ひどいもんなんですね!他人をひき殺しておいて、そんな発言までするとは・・・
いつも思う事なんだが飲酒運転に限らず、他人を殺めても数年間、刑務所に入っていれば出てこれる?ってケースありますよね!あれってヒジョ〜に遺憾であります。裁判って詳しく知りませんが、あの服役する年数って改訂出来ないもんですかね?
人が死んでるのに・・・
絶対おかしいと思いませんか?
Posted by デヴィッド at 2006年09月19日 13:43
こんばんは☆

親戚の1人は交通事故(右折時の不注意)で死んだし
僕は見通しの悪い場所でスピード違反者にはねられた
交通事故(違反)ってそこら中にあふれています
(速度違反、飲酒運転、ケータイしながら、etc...)

裁判を傍聴したことはないけど、被害者(遺族)に感情移入しがちなのかな
傍聴席の人のうち、何人が一度も交通違反をしていないのだろうか
僕が傍受席にいたら、加害者を心の中で罵倒するよりも先に
「自分の運転は本当に安全だろうか」と自問すると思う
(加害者の方は反面教師として役立つだろう)
(僕は自信を持って安全運転をしてると言い切れます)

実際に起きたこと(人が死んだとか)に対して
どう処罰されるべきか、感情的になるよりも
それを知って、自分はどう行動すべきかを考える方が
より有意義だし、次に繋がっていくと思いました
(僕がそういうことにあまり関心が無いからかもしれないけど)
Posted by あおい at 2006年09月19日 21:52
デヴィッドさん>こんにちは!
そこ、微妙なんですよね。というのは、交通事故は自動車の運転中に起きた「過失犯」(うっかりやっちまった)として見なされるんです。殺人などの「故意犯」とは刑罰が明確に分かれています。
ちなみに、危険運転致死傷罪は「故意犯」ですので、最高懲役20年が科されます。最近新設されました。
あの、飲酒運転の車が高校生につっこんだ事故も、「危険運転罪」がなかったら、5年以下の懲役で済んでいたことになります。ちょっとは厳罰化が進んでいるのですが、その危険運転罪の適用にはものすごくハードルが高かったりするんです。安易な厳罰化は反対なのですが、人としてこれはダメじゃん、というレベルで軽い罪名しかつけないのは腑に落ちないんですよね…

あおいさん>こんにちは♪
私は傍聴席にいると、どうしても加害者の無責任な態度が許せなくなる傾向が強いです。というより、無責任な運転手ばかりが起訴されるので…そうならざるを得ない、というのが現実です。「法律に違反しているから許せない」ではなく、「人として許せない」からなんですよね。
遺族に対して道義的責任を取るなどした運転手は公開の法廷に出てきません。
その怒りの感情を抱きつつも、自らの運転を顧みる、というのが私の傍聴雑感です。
私の運転は正直言って、安全運転とはほど遠いですし、いくら気をつけても道路のどこにでも危険というのは潜んでいます。完全な安全運転などあり得ません。その中で、どんな危険が潜んでいるのか、生に近い現場を見られるのが交通事故の裁判だと思っています。交通事故加害者の刑の軽さに怒りを抱きつつ、安全運転とは何か、ということを考えさせられます。
Posted by こめろんぐ at 2006年09月20日 10:08
こめろんぐで、傍聴されたみたい…
Posted by BlogPetのまめろんぐ at 2006年09月20日 11:30
交通事故で怖いのは…
加害者にも被害者にもなりうるということだと思います。
どんなに注意して運転をしていたとか…
交通ルールを守っていたとか…
そういった問題では全くなく。
いざ、自分が被害者の立場に立った場合。
いざ、自分が加害者の立場に立った場合。
自分が、どのような態度に出るかはやはり、そのポジションに立ってみて初めて気がつくのでしょうね。

まー、オイラも昔はかなりヤンチャ(?)してきた結果、何度か人身事故の被害者になってますが…(幸い死亡事故や病院送りはありませんが)
お詫びに行くたびに、誠意=金を要求してくる加害者もおります。(苦笑)
これも、度を超えると難しい問題にもなりますよね。

ただ、事故は大なり小なり「折り合い」を付けるのが非常に難しい問題だと思うこともしばしばですね。
まー、さすがに裁判の場に、どの立場でも立った経験はないので何とも言えませんが…(汗

でも、交通裁判の傍聴とかすると、改めて「安全運転」をしなくては!と心がけるかもしれませんね。

最後に、オイラもトロさん読みましたよ。
傍聴かー!(笑)いっぺんしてみたいですね。
Posted by カンジ at 2006年09月20日 19:56
カンジさん>こんばんは!
トロさん読みましたか!
では次に「霞っ子クラブ」をおすすめします。これ、同名のブログの書籍化なんですが、ブログもおもしろいので、本も結構いけると思いますよ。
ちなみに、オイラも被害者になったことがあります。バイクで普通に走ってたら、横から車が一時停止無視してつっこんでこられました。バイクは大破。私も数メートル飛びました。いやあ、よく生きてたなと。
確かに、自分は加害者にもなりうる立場です。しかし、万が一加害者になったとしても、法廷に出てくるような加害者たちのようにはなりたくない。そんな風に思うんです。ハイ。
もちろん、飲酒運転などもってのほかです。裁判傍聴をするようになって、交通事故被害者の方と知り合うようになってからは、自分は絶対にしないばかりか、飲酒運転をしようとする友人を止めるようになりました。一度は、友人の代行運転料を建て替えたことすらあります。俺も変わったなぁと思いました。
あ、あの金まだもらってなかった。今度、請求しにいこ≡≡≡ヘ(* - -)ノ
Posted by こめろんぐ at 2006年09月20日 22:00
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