2006年10月19日

大阪・寝屋川の教員殺傷事件で少年に懲役12年

発達障害の少年が起こした事件で、少年院送致ではなく、実刑を選択したのは異例のことです。
でも、ちょっと疑問が残りました。

寝屋川教職員殺傷 卒業生少年 懲役12年 大阪地裁判決 刑事責任能力認める

 大阪府寝屋川市の市立中央小学校で昨年2月、教諭の鴨崎満明さん=当時(52)=が殺害され、教職員2人も重傷を負った事件で、殺人などの罪に問われた 卒業生の少年(18)=事件当時(17)=に対する判決公判が19日、大阪地裁で開かれた。横田信之裁判長は「極めて悪質な事案で、少年の資質を考慮して も、もはや保護処分の域を超えている」として、少年に懲役12年(求刑・無期懲役)の実刑を言い渡した。
 弁護側は広汎性発達障害と診断された少年の処遇について、「治療と更生のためには少年院での保護処分が相当」と主張していたが、判決は少年事件の厳罰化の流れに沿うものとなった。
 一方で、横田裁判長は「少年を真の意味で更生させることも刑罰の重要な目的であり、少年刑務所が障害に配慮し、適切な処遇が行われることを希望する」とする意見もつけた。
 横田裁判長は判決理由で、まず広汎性発達障害が犯行に与えた影響を考察。障害の特徴である強迫的なものへのこだわりが犯行に結びついた、と判断した。
 さらに、「少年は包丁で刺すことが殺害につながる可能性を認識していた」と殺意を認定。責任能力については、障害の影響を考慮しながらも「是非を分別する能力も行動統御能力も著しく減退していたとはいえない」と述べた。
 その上で、少年刑務所と少年院のどちらでの処遇が適当かを検討。
 少年の更生には障害の克服が必要としながらも、確立された治療法がないことや、すでに18歳を超えた少年への治療効果に疑問があることを指摘。「弁護人 の主張は傾聴に値するが、少年刑務所も変化しつつあり、障害に配慮した処遇も期待できる」として保護処分は相当でないと結論づけた。
 公判で、検察側は犯行時18歳未満の少年への最高刑である無期懲役を求刑。これに対し、弁護側は殺意と責任能力を争うとともに、少年法55条に基づく家裁への移送を求めていた。
 判決によると、少年は平成17年2月14日午後、中央小に侵入し、1階廊下で応対した鴨崎さんを包丁で刺して殺害。続いて2階職員室で女性教職員2人も刺し、重傷を負わせた。
 少年は現行犯逮捕された後、大阪家裁に送致。家裁は同年8月に「凶悪で非人間的な犯行」として検察官送致(逆送)を決定し、その後、大阪地検が起訴していた。
(産経新聞) - 10月19日16時35分更新

この、産経新聞ではなく、うちの地元紙(共同通信配信記事と思われます)には、この裁判のまた、違った一面が書かれていました。

弁護士は、少年の発達障害が犯行に及ぼした影響を極力立証するため、意味不明の発言を引き出すような被告人質問をしたそうです。


ちょっと待て。それは、筋違いじゃないか?



この少年は、広汎性発達障害を持っていたそうです。発達障害は、身体障害、視覚障害などと同じく、「障害」の一つです。病気ではありません。彼が犯した犯行が残忍だったかどうかは今は、横に置いておきます。


この国では、裁判を受ける権利が保障されています。従って、聴覚障害者の被告人の場合、手話通訳が、外国人の場合も通訳が付きます。裁判で何が行われているか、また、裁判できちんと主張することを保障するためです。発達障害者の場合、障害の程度にもよりますが、複雑な裁判手続きを理解すること、短い時間で最低限度行われる被告人質問などを理解できません。彼らの裁判を受ける権利を保障するには、彼らの通訳となる精神科医や心理学者の同席が不可欠なはずです。

この弁護士は、それを怠ったばかりか、意味不明の文言を引き出そうとした? ふざけるのもいい加減にして頂きたいものです。弁護士は精神異常性を犯行に結びつけ、「本人が悪いんじゃない、社会が悪いんだ、だから刑事責任を免責し、少年院で処遇を」と求めたんでしょう。

それは、彼から正当な裁判を受ける権利を奪ったに等しい行動です。

人権を守るべき弁護士が聞いてあきれます。


世の中ではもう、すでに何百回も言われていることを繰り返しますが、発達障害と犯罪の因果関係はありません。従って、彼らが事件を起こしたとき、刑事責任能力に影響はありません。影響があるとしたら、障害ではなく、精神疾患にかかっていたときです。精神疾患と障害は違います。お間違いなく。

今回は、家裁で「刑事処分相当」と判断して、刑事裁判を受けることになった段階で、裁判とはなんなのか、こういうときはこうなんだと彼に理解させる、そして、わけのわからないうちに裁判を勧めさせるのではなく、彼がきちんと理解し、裁判を受けられる条件整備をすべきだったはずです。それをすべて放棄し、「発達障害の子を刑事処分にするのはおかしい」としか主張しない。彼がなんにも理解できず、反論できないことを逆手にとって、取り返しの付かないことをしてしまったと言えます。


まあ、裁判官ができた人だったのか、弁護士の愚かな行動も含めてちゃんと判断したようですが。ちょっとあれだな、と思ったのは「障害の治療効果」とのくだり。


発達障害は治療できません。精神疾患とは違うのです。


発達障害の人は、障害を抱えながらも、世間で生きていけるように、思考や行動などを制御するため、訓練するしかないのです。そこをわかっていない。


発達障害に理解のある弁護士が付いていれば、こんな判決にはならなかったのではないか。そんな気がします。


ましてや、もうすぐ裁判員制度が始まるのです。今回のような殺人事件は、裁判員対象事件です。一般人が匹古訓のことをちゃんとみられず、被告人も裁判を理解していない。こんな状況で冷静に判断できますか? 疑問です。

聴覚障害者などと同じく、発達障害の人たちのための「通訳・アドバイザー」的立場の人の出席を認めるなど、障害者の裁判を受ける権利を保障するための制度作りが必要なのではないでしょうか。法曹関係者はどう考えているのか、聞いてみたいものです。


この事件、無期求刑事件ですので、検察側も控訴するでしょう。弁護側もするでしょう。

高裁ではちゃんと、彼に裁判を受けさせてあげたい。そう思います。もっとも、遠く離れた北国からでは何もできないのが残念です。



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posted by こめろんぐ at 23:58 | Comment(1) | TrackBack(1) | ニュースに一言! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
まめろんぐは少年へ意味するはずだった。
また共同通信で通訳♪
Posted by BlogPetのまめろんぐ at 2006年10月20日 13:00
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