ところで、Wikipediaをだれが編集したかをIPアドレスから追跡できる「Wikiscanner」の日本語版がこのほど、リリースされました。企業や官公庁のIPアドレスを入れると、たちどころに役所が都合の悪い記述を削ったとか、そういうのが一目で分かるツールで、結構おもしろいです。
で法務省のIPアドレスを代入した結果、とんでもないことが判明しました。
なんと、こやつら。あの天下の悪法案「共謀罪」の項目を16度にもわたって修正していやがったのです。しかも、結構悪質です。以下にWikiscannerの該当部分を貼ってみます。
202.214.11.4 | 共謀罪 [cur] | 3740700 | /* */ | 2005-12-02 09:58:17 |
202.214.11.4 | 共謀罪 [cur] | 3740836 | /* */ | 2005-12-02 10:12:19 |
202.214.11.4 | 共謀罪 [cur] | 3740954 | /* */ | 2005-12-02 10:22:11 |
202.214.11.4 | 共謀罪 [cur] | 3740990 | 2005-12-02 10:25:35 | |
202.214.11.4 | 共謀罪 [cur] | 3741002 | /* */ | 2005-12-02 10:27:09 |
202.214.11.4 | 共謀罪 [cur] | 3741011 | /* */ | 2005-12-02 10:27:54 |
202.214.11.4 | 共謀罪 [cur] | 5847102 | /* */ | 2006-05-23 02:13:39 |
202.214.11.4 | 共謀罪 [cur] | 5847125 | /* */ | 2006-05-23 02:15:58 |
202.214.11.4 | 共謀罪 [cur] | 5847136 | /* */ | 2006-05-23 02:17:11 |
202.214.11.4 | 共謀罪 [cur] | 6309502 | /* */ | 2006-06-23 07:02:01 |
202.214.11.4 | 共謀罪 [cur] | 6369708 | /* */ | 2006-06-27 05:35:57 |
202.214.11.4 | 共謀罪 [cur] | 6369778 | /* */ | 2006-06-27 05:41:02 |
202.214.11.4 | 共謀罪 [cur] | 6369796 | /* */ | 2006-06-27 05:42:18 |
202.214.11.4 | 共謀罪 [cur] | 6369807 | /* */ | 2006-06-27 05:43:06 |
202.214.11.4 | 共謀罪 [cur] | 6369843 | /* */ | 2006-06-27 05:46:33 |
上のリストのピンク色背景で示された数字をクリックすると、どのような修正をしやがったのか、一目で分かります。
例えばこんな直し方をしてます。
- | 共謀罪の構成要件それ自体を抽象的に分析すれば賛同説のいうとおりとも考えられるが、[[捜査]]というものは捜査機関にとって事実関係が不明であるからこそ行われることを考えると、居酒屋での冗談であっても、関係者が[[被疑者]]と目されて捜査の対象となり、[[捜索|捜索差押]]を受けるとか[[逮捕]]されるといった種々の権利・自由の制約を受けたり、あるいは社会的評価の低下に見舞われる危険が常に残る。その危険は、ある程度までは運用により回避できるであろうが、運用の妙に依存するのでは独裁者の慈悲にすがるのと同じであり、根本的な解決とはならないともいえる。 | + | 共謀罪の構成要件それ自体を法的に分析すれば賛同説のいうとおりと考えられる。これに対して、批判論者は、[[捜査]]というものは捜査機関にとって事実関係が不明であるからこそ行われることを考えると、居酒屋での冗談であっても、関係者が[[被疑者]]と目されて捜査の対象となり、[[捜索|捜索差押]]を受けるとか[[逮捕]]されるといった種々の権利・自由の制約を受けたり、あるいは社会的評価の低下に見舞われる危険が常に残る、その危険は、ある程度までは運用により回避できるであろうが、運用の妙に依存するのでは独裁者の慈悲にすがるのと同じであり、根本的な解決とはならないという。 |
- | また、法案検討の当初(平成14年11月の法制審議会刑事法部会)から平成17年の第162回国会審議(衆議院法務委員会)にいたるまで、一貫して指摘されているのが、国連条約が繰り返し明示している「金銭的利益その他の物質的利益を得ることに直接又は間接に関連する目的のため」という限定を、政府提出の共謀罪(案)が取り去ったことで、条約の範囲を逸脱しているということである。 | + | また、批判論者は、法案検討の当初(平成14年11月の法制審議会刑事法部会)から平成17年の第162回国会審議(衆議院法務委員会)にいたるまで、一貫して指摘されているのが、国連条約が繰り返し明示している「金銭的利益その他の物質的利益を得ることに直接又は間接に関連する目的のため」という限定を、政府提出の共謀罪(案)が取り去ったことで、条約の範囲を逸脱しているということである。共謀罪自体が日本の国内法とは異質なものを導入するのであるのに、それと他とが合わないから他のほうを共謀罪にあわせるという発想は、「原則と例外がひっくり返りはしないだろうか」(法制審議会審議委員の発言)と評されるところである。 |
- | 政府はこれに対して、「それ以外の目的で同種の行為が行われたときに処罰しなくていいのかということが全く説明がつかず」と説明しているが、共謀罪自体が日本の国内法とは異質なものを導入するのであるのに、それと他とが合わないから他のほうを共謀罪にあわせるという発想は、「原則と例外がひっくり返りはしないだろうか」(法制審議会審議委員の発言)と評されるところである。 | + | これに対しては、賛同論者は、条約のいう「金銭的利益その他の物質的利益を得ることに直接又は間接に関連する目的のため」という概念は非常に広く解されており、純粋に精神的な動機から行う犯罪等が除外されるにとどまるものであって、我が国において、純粋に精神的な動機から行われる犯罪かそうでないかによって処罰の有無が異なるということは不合理であるという。 |
(赤字が書き足し、もしくは改訂部分。青字は大幅に書き換えられた部分)
…ずいぶん自分たちに都合のいい解釈だなぁ。というか、「政府」という言い回しを「賛成論者」、世論を「反対論者」とすり替え、世間の議論になっているかのごとくミスリードしています。これは極めて悪質な修正といわざるを得ません!
何度も言いますが、共謀罪を導入したがっているのは政府(法務官僚)、与党だけです。賛成している論陣を張っているのは読売新聞、サンケイ新聞だけです。その他の政党、新聞、世論はすべて反対してるんですが、なんでこれで賛否両論の人がいるということになるのでしょうか。
汚い。実に汚いやり方です。世間が見えていないのか、自分たちだけが正しいと思っているのか。こんな加筆もありました。
+ | そもそも、条約にどう規定されているかがまず重要であるが、条約上、共謀罪と参加罪の双方又は一方を犯罪とする義務があることに疑いはない。立法ガイドがこれを覆すわけがなく、立法ガイドも、少なくともどちらかを選択する義務があることを当然の前提とし、片方を選択すればもう片方は選択しなくてもよいという意味で書かれたものである。 | ||
+ | 反対派の読み方は、条約の規定を置き去ったもので、反対のための反対でしかない。 |
おまえら…。これを一般的意見として書くのは、卑怯だろ。お前らの立場での一方的主張じゃないか!
そもそも、法務省のオマイらは当事者だろ。Wikipediaには「中立的な観点から記事を書くべきだという強い方針」があるわけで、ガイドラインでも「自分のことは他の利用者に執筆を任せるのが望ましい」と示している。(Wikipedia:自分自身の記事をつくらないの中の「ウィキペディアにすでにあなたについての記事があるとき」参照)
それをお前らは…
まあ、これらの記述は今は大分、形を変えているけど、相変わらず「賛成論者の意見」「反対論者の意見」というように対等に書かれている。賛成論者なんてほとんどいないじゃないか。世間の中の共産党支持者の割合より少ないと言っても過言ではないです。
このWikiscannerで分かったこと。法務省はマジで危機感を持って、さまざまな工作を仕掛けているということです。
そうまでして必要な法律ではないし、むしろ私たち国民の生活をがんじがらめにしてしまう法であることは、オイラが今までさんざん述べてきたとおりです。
法務省の工作には屈しない!
どこまでも吠え続けてやるぞ!
STOP! 共謀罪!
