2008年07月09日

傍聴人もだまされかけた! オレオレ詐欺の驚きの結末

某巨匠よりリクエストがあったので、そろそろ書こうと思っていた、ちょっと前の裁判傍聴の話を( ̄ー ̄)ニヤリ


その日の開廷表で目を引いたのは、被告人が男2人、女1人が一緒に裁かれている「詐欺」でした。

当時、「オレオレ詐欺」(振り込め詐欺とも呼んでますね)が大流行?していたので、これはそうなんじゃないか、と予想してみたのですが、これがビンゴ! 思いっきりオレオレ詐欺でした。


事件は大がかりでした。3人の上にボス?がいて、ボスが名簿や電話回線、架空名義の預金口座を用意。男一人が「息子」役で、もう一人が「警官」「弁護士」「被害者」などの役。女は「金の引き出し役」でした。

今回の傍聴記は息子役の「男その1」の話を書きます。


この男、驚いたことに

「借金が返せなくなって困っている。代わりに払って。300万円」
「事故を起こして相手にけがをさせた。治療代が必要だ。150万円振り込んで」
「トラックを取引先の門柱にぶつけて門を壊した。弁償しなければならない。250万円振り込んで」

こんなたわけた話を、被害者に電話の声だけで信じさせたんです。すごい演技力でびっくりしますわ。それで10人以上から3000万円もパクったというすさまじい事件です。

なんだか、ぐずぐず泣いて電話をして、信用させたという「男その1」。体格も姿勢もよく、丸刈りが似合う。スポーツをやってたのかなと思わせました。罪状認否ではすべての起訴事実を認めました。


で、冒頭陳述が終わったあと、弁護側の情状証人が尋問されました。証人の一人目は、男その1の父親でした。この人も背がすらっと高く、スーツもきれいに着こなして、絵に描いたような紳士。淡々と息子との関係や今後の接し方について語りますが、その文言よりも目についたのが、男その1の態度でした。


(つд⊂)グズッ。グズッ。


鼻をすする音が法廷に響きます。法廷は傍聴席が30人で満員になるような狭いもので、被告人の息遣いまで傍聴席に伝わるんです。で、男その1のすすり泣きで、お父さんの証言など印象が薄くて薄くて。大の男が女々しく泣いてるんですわ。かっこわるー。3000万円もパクッた悪人なら、悪人らしく堂々としてればいいのに。


男その1は結局、お父さんの証言が終わるまで泣きっぱなし。証言を終えるとうつむき加減だった顔を上げたのですが、大号泣ですよ。泣き崩れるとはこのことで。


泣くくらいなら、そんな犯罪するなよ。何回も繰り返して。
しかも、年寄りばっかりねらった、とんでもない詐欺事件だったわけだし。
同情の余地はありません。


さて、証人尋問が終わり、被告人質問になったのですが…まだ泣きっぱなしです。


弁「さっき、お父さんが証言してくれたけど、どう思った?」
男「自分が情けなくてしょうがないです」
弁「お父さんはもっと情けなかったと思うよ」
男「ハイ。子を持つ親の心につけ込むなんて、なんて卑怯だったんだろうと思います」
弁「あなたは【主犯のボス】に誘われてやったのね?」
男「ハイ。ですが、私が一番悪いと思います。何とか償いたい」



なかなか殊勝なことをいうなぁ。反省の情は十分か?と思えてきました。法廷の空気も、男その1に同情的になってきてます。
しかし、検察官の質問で、法廷のムードが一変しました。


検「で、被害者にいろいろ語って見せたけど、その語りは【主犯】の指示なの?」
男「いえ、自分で考えました」
検「結局は、積極的に荷担してたよね」
男「…申し訳ありません」
検「あなたがいろいろ、【共犯の男その2】に演技指導もしていたね」
男「…ハイ」
検「で、分け前は何に使ったの?」
男「ブランド品とか、競馬とか、女とか…」
検「償うっていっても、返す当てはあるの?」
男「…ありません」



ずっと泣きながらなんですが…

おいおいおいおい。話がいろいろ違ってきたぞ。


あ、そうか!




この手で被害者をだましたんだ!



やべぇ。うっかりだまされるところだった(爆)

こう思い当たるともう、男その1の殊勝な姿が嘘くさく見えてなりません。
傍聴席の雰囲気も、私と同じ気持ちになってきたような感じ。
がっくりうなだれる姿すら「それ、演技だろ」に見えてきました。
そういえば、裁判官は終始、厳しい目線を投げかけていましたね。なれてるのかな?


検「あなた、高校時代は野球やってたんだよね?」
男「ハイ」


お、やっぱりスポーツ選手だったか。それにしても、スポーツマンシップはどこへやら…と思ったら、検察官がとんでもない一言を吐きます!











「甲子園にも出場したんでしょ?」
男「ハイ」



`;:゛;`;・(゜ε゜ )ブッ!!
ちょっ、待てい! 甲子園球児だったの!? しかも「出場した」ってレギュラーだったのか?
これはびっくりしましたよ。ええ。



検「そのころの自分が今の君をみたらどう思うだろうね」
男「昔の自分が見たら、今の自分は絶対に許せないと思います」



…( ´_ゝ`)フーン


いくら殊勝なことをいっても、もうだまされないよ。

法廷の雰囲気は、すっかり男を敵視するようになっています。

結局、この男その1には懲役10年が求刑されました。判決もみることができましたが、懲役8年を言い渡されました。

まあ、被害者だけでなく、法廷すらだまそうとしたようにも見えましたからね。多少、重くなってもしょうがないか。そんな風に思えた裁判でした。


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2007年11月27日

リアル「両津勘吉」を見た! 成年後見人による業務上横領事件

久々に裁判の話です。

今回、ピンときたのは、「業務上横領」事件。傍聴席もまあまあいます。ただ、検察側の前には「傍聴マニア」しかおらず…。なんだろ、これ。

さて、開廷前に腰縄手錠姿の被告人が入廷しました。しょぼくれた50がらみのおっさんですが、なんか、雰囲気はその辺のおっさんと違います。うーん。この雰囲気…

飛び込みで何かを売りまくる迷惑セールスとか、新聞拡張員とか、その類のにおいがしました。

さて、裁判官が入廷し、人定質問です。

裁判官「名前は」
被告人「山田太郎です」(註:もちろん仮名)
裁判官「本籍は」
被告人「○○市○○区●●丁目○番○号」
裁判官「それは住所ね? 本籍は丁目まで?」
被告人「ハイ」
裁判官「現在、何か仕事をしていますか?」
被告人「ハイ。新聞拡張員をやってます」

オイラの勘、大当たり!(爆)


いやいや、こんなところで受けてもしょうがない。

さて、起訴状朗読によると、この被告人

○○家裁から、甥であるヤマダジロキチの成年後見人に指定され、財産管理していたが、
1:平成16年1月にA銀行の口座から262万払い戻して横領。さらに、同口座から4回にわたって計112万円を自分や息子の口座に移し替え、横領。
2:B銀行の口座から平成16年7月から11月にかけ、10回にわたり、計117万円を払い戻し、着服。
3:平成16年11月から翌年4月までに8回に渡って同口座から8回にわたり、計600万円を別口座に移し替えた。
4:平成17年7月 郵貯の口座から201万円を払い戻し、着服した。

罪名=業務上横領。

おいおいおいおい。ごっつい仕事してますやん。身内とはいえ。

てか、成年後見人になってるということは、身元調査を裁判所がちゃんとしてるはずなんですが…。さて被告人が、罪状認否で「間違いありません」と全面屈服したところで、検察側の冒頭陳述が始まりました。なかなかエグイ内容でした。以下にメモ内容を書きます。

被告人は大学中退で、生命保険会社などを職を転々とし、昭和58年から新聞拡張員をしている。被害者のジロキチは重度の知的障害があり、施設に入所して生活している。ジロキチの実父が死去し、その財産を相続したため、叔父の被告人が平成16年4月に成年後見人となった。
しかし、以前から闇金などから借金300万円があり、競馬などで費消していた。成年後見人になる前にもジロキチの口座から463万円を勝手に引き出し、競馬につぎ込んだが、その事実を裁判所に隠し、後見人になった。
犯行態様は公訴事実の通り。
そして、平成17年5月に○○家裁が調査した際、隠しきれないと悟って、同6月に横領を申告その後も郵貯から金を引き出した。郵貯の金200万円のうち、10万は債務返済に充て、残りは競馬に費消した。
その後、成年後見人を解任され、ジロキチについた司法書士との間で被害弁済する旨、調停をしたが、すでに52万円を滞納している。
ジロキチは施設にいないと生活できない。その入所費用に年50−60万円かかるが、平成19年3月現在でジロキチの財産は293万円になっており、5−6年で底をつく。

…。要するに、

競馬で借金漬け、クビ回らない
    ↓
障害者の甥っ子がごっつい財産継いだ
    ↓
その成年後見人になれば財産いただき!
    ↓
よし、一財産頂き!がっぽり横領したぜ
    ↓
え?裁判所がチェックするの?やべ。
    ↓
ええい、ばれるんだからしょうがない!馬券で返せばいいんだろ
    ↓
さらに横領も馬券負けて涙目
    ↓
タイ━━━━||Φ|(|゚|∀|゚|)|Φ||━━━━ホ!!!

という、後先見ないで甥っ子の財産を食いつぶした、新聞拡張員の成れの果てというわけですな。

さらに検察側は、証拠となる調書の要旨を以下のように告げました。

妻の供述調書によると、被告人は以前から借金が多く、自己破産を勧められたこともある。借金は競馬で作ったらしい
本人の調書によると、闇金などに多額の借金があり、金を増やして借金を返そうとして競馬につぎ込み、負けたらまた借金、の繰り返して借金がふくらんでいった


…同情の余地無し。

馬券で借金が返せるのなら、世の中の自己破産者なんて一人もいないって。

で、証人尋問の1人目は新聞拡張会社の社長でした。
グダグダ言ってましたが、「被告人はマジメに勤めており、成績も優秀。ウチで3本の指に入る拡張員であり、私の右腕だ。こんな事件を起こすなんて信じられない」とのことでした。

新聞拡張員として優秀って、人としてやばいんじゃ…。

だんだん、被告人が両津勘吉に見えてきました。


奥さんの証人尋問は特に内容がなく、いよいよ被告人質問です。


検察官「借金ある身で後見人をやっていいと思ってたの?」
被告人「ジロキチの父が死んだあと、兄妹の話し合いで、長男の私がやる決まった。司法書士を頼むのはお金がかかり、年々財産が減っていくのでもったいないと思いました」
検察官「あなたがやった方が財産が減ったじゃないか」
被告人「ハイil||li _| ̄|○ il||li」

検察官、ナイス突っ込み!

検察官「ジロキチ君に悪いと思わなかったの?」
被告人「思ったんで、競馬で増やして返そうかという気持ちが強かったんです」


…だめじゃん。

検察官「家裁から「犯罪だ」といわれたのに、まだ下ろしたでしょ」
被告人「借金返すことしか頭になかった」

だーかーらー!

検察官「弟さん(ジロキチの父)の葬儀費用を出してないのに、「出した」と申告したね。ウソでしょ」
被告人「兄妹で負担したものなので良いかと…」

…だめだろ。人のものはオレのモノ、オレのモノはオレのモノ。人が出した金はオレが出した金。

あり得ない理屈だって。ジャイアンか、おまえは。

求刑は懲役3年でした。


で、この日の裁判が終わった後、ロビーに出ると、例の新聞拡張会社社長と、被告人の妻がしゃべってました。

社長「奥さん。まあ、気を落とさないで。ウチの会社でもまぁ、何かやらかす奴がいるが、被害弁済ができれば執行猶予がつくから」
「すいません。いろいろと」
社長「でも、まあ、今回は額が大きいから、重くなるかもね。まあ、何かあったらいつでも相談に乗りますよ」


…おいおいおいおいおいおい。慣れてんのかよ!社長!




さて、2週間後に言い渡された判決ですが…。


主文。被告人を懲役2年6カ月に処する。未決勾留日数中20日間をその刑に算入する。



実刑キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!


判決理由も被告人フルボッコ状態でした。
●成年後見人という社会的地位を悪用し、1000万円以上も着服した。

●そもそも、自分の借金返しのためのギャンブル資金という動機に酌量の余地はない。弱者の権利を損なわないための制度の根幹を揺るがしており、卑劣きわまりない。
●しかも、裁判所に警告された後も犯行を重ねたばかりでなく、ウソの申告をするなど悪質極まりない。
●知的障害者の成年後見人の立場を悪用した、極めて悪質な犯罪。一般予防の見地からも実刑が相当と判断した。

そりゃそうだ。普通に出てきたら、このおじさんはまた、何かしでかしそうだし。

競馬で借金返せず、あくどいことをして金を作り、ぱーっと競馬につぎ込んで負け、また借金…。まさに「両津勘吉」男の成れの果てをみたような裁判でした。



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 おまけの今日の物欲
posted by こめろんぐ at 17:27 | Comment(4) | TrackBack(1) | 実録!?裁判傍聴日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月25日

リアル「逆転裁判」? 覚せい剤取締法違反事件で驚愕の展開(ちと修正)

その日、一番目を引いた事件名が「危険運転致死・覚せい剤取締法違反」でした。

多分、シャブを決めて車を運転し、交通事故を起こしたか、そんなところかなと。こんな悪辣なのにひき殺された日にゃ、たまりませんって。

そんな思いで法廷に行ってみると、意外に傍聴人が多いです。そんなに有名な事件? よくわからなかったのですが…。弁護人も2人いる。ん? 傍聴席には見覚えのある検事さんの姿が…。なんだか、物々しいですぞ、これ。

開廷前に、腰縄手錠姿で現れたのは、しょぼくれたインチキ臭い40がらみの小柄なおっさん。白髪交じりの髪は短く刈ってあり、よくありがちな「反省して頭を丸めました。なので刑期は短くしてね。テヘ♪」というタイプに見えました。


さて、起訴状と検察の冒頭陳述によると、おっさんは

1:運送会社に通勤中、遅刻しそうだったので猛スピードで飛ばしたあげく、赤信号を無視して交差点に進入。横断中のおじいさんを轢き、死亡させた。
2:11月30日からさかのぼること3週間の間に、場所はわかんないけど、覚せい剤を使用した。

の罪に問われていました。どうやら、覚せい剤を決めて運転していたのではなく、前の日か2日前にやったのが残ってて、尿検査で引っかかったようです。

この「2」ってなんじゃい、という人がいるかもしれませんが、覚せい剤の事件って、結構この手の起訴状が多いです。日時、場所、方法(注射とか吸ったとか)はわからないけど、小便から覚せい剤が出たからタイ━━━━||Φ|(|゚|∀|゚|)|Φ||━━━━ホ!!!。で、起訴されますが、本人が「いつ使ったかわかんない」なんてとぼけるんですよね。下手すると「これは陰謀だ」なんて逃げる人もいます。その他諸々の理由で日付が特定できないときは、覚せい剤が体から抜ける期間を考慮して「だいたいこの辺りの日に」という起訴状が書かれるようです。これでも有罪になるんですけどね。

さて、罪状認否でおっさんは、「危険運転の方は間違いありません。覚せい剤はやってません」と覚せい剤使用のみを否認。弁護側が冒頭陳述を行い「検察側は11月以降に覚せい剤を使ったというが、被告人は10月までで覚せい剤をやめた。仲間がお茶に覚せい剤を入れた可能性が高い」と主張しました。

それにしても、嘘くさい否認だなぁ。陰謀説ですか。10月までやってて、それ以降はやってないってアンタ、子どもの言い訳かよ…。

しかも、このおっさん、覚せい剤の前科が4つもあります。しかも、3回は服役までしてる。ダメじゃん。

で、冒頭陳述が終わったところで、書記官が「この裁判は公判前整理手続きを行い、争点を整理しました。この裁判の争点は、被告人が覚せい剤を故意に使用したかどうかの1点です」と宣言。交通事故についての調べはほとんど行わず、覚せい剤のみに集中して審理するということになりました。


さて、この裁判のハイライトは、覚せい剤仲間(どんな仲間だ)の証人尋問でした。
この覚せい剤仲間、髪の毛ぼさぼさでしょぼくれた、50がらみのおじさんで、目つきがかなり悪いです。しかも、最近シャブで捕まって、執行猶予付きの有罪判決を受けたそうな。


このおじさんは検察官の質問に対し

●シャブは被告人に買ってもらってた。売人を知ってたのが被告人なので。
●11月中旬にやらないかと誘われた。一時期やめたと言ってたけど、ずっとやってたんだと思う。
●俺がシャブを持ってるわけないし、買う金もなく、入手は被告人に任せてたし。
●俺が被告人のお茶に覚せい剤を混入するなんてとんでもない。


などと回答しています。まあ、被告人もうさんくさいんですけど、こいつも相当、うさんくさいですね…。てか、覚せい剤でパラサイトかよ。そういうモノは自分で買えよな。いや、買っちゃいかんか(^_^;

さて、これに対する弁護側、結構頑張りましたよ。

弁 あなたは覚せい剤を自分で買ったことがないの?
証 昔は買ってたけど、今は買ってない。
弁 売人の名前は今でもわかるわけだ。
証 そりゃあ、ね。
弁 連絡先を知ってる?
証 知らない。
弁 そう? あなたの携帯電話の記録を調べたらわかるんだけど、それでも知らないと言える?
証 …
弁 あなた、被告人に覚せい剤を買ってもらって、そのおこぼれに預かってたんだ。
証 ハイ。そうです。
弁 被告人は10月でやめたと言っている。やめたから、あなたは困ったんじゃないの?
証 …
弁 で、もう一度被告人に覚せい剤の味を思い出してほしくて、手持ちで少し残ってた覚せい剤を混ぜた?
証 全然、そんなコトしてません。
弁 あなた、11月頃、山田(仮名)という売人に電話してるね。記録にそう出ている。
証 ( ̄  ̄)ハイハイ… でも、買わなかったから。挨拶だけ。山田は友達だからさ。
弁 被告人も山田から覚せい剤を買ってたんだよね。
証 そうみたいっすね。



あれ? 心なしか、弁護側が逆転しちゃったんじゃない? だって、自分は売人は知らないって言ってたのに、売人に電話してるの、認めちゃったし。ウソつきかよ。

なんだか、この証人のおじさんが、マジで覚せい剤ほしさに被告人のお茶に覚せい剤を仕込んだような気がしてきました。いや、このおじさんならやりかねない。そんな雰囲気がありました。証言の最後の方には、おじさんの顔色が悪くなって、ちょっとふるえているような声でしたから。

まあ、目くそ鼻くそを笑うのレベルではあるんですが…。

そして、翌日に行われた被告人質問で、弁護側が証拠を元に立証を重ねます。そして…

被告人の携帯電話の通話記録によると、前日に出た山田という売人の電話番号が10月までは出てくるのに、11月以降は出てこない、ということが裏付けられてしまいました!

これはビックリ。

いや、11月以降は公衆電話だったかもしれないし、それは弱いんじゃない? とか思ったのですが…まさか…。


検察側は例によって被告人をゲチョゲチョにこき下ろしたあげく、懲役10年を求刑。弁護側は最終弁論で「危険運転は本人もよく反省している。幸い、任意保険に入っていたので、遺族にはそれ相応の賠償もなされる見通しだ。ただ、覚せい剤はやってない。尿検査で反応が出たのは、仲間がお茶に覚せい剤を入れた可能性が否定できない。少なくとも、被告人の故意による覚せい剤使用という検察側の立証は不十分である」と覚せい剤のみ無罪を改めて主張しました。


2週間後に判決が出ました。






主文。被告人を懲役6年に処する。




ただし、覚せい剤取締法違反について、被告人は無罪!







おおおおお!マジか!

リアルで逆転裁判じゃん。これ!


だって、尿検査で覚せい剤が出てるのに「誰かが俺を陥れるためにシャブを飲み物に入れたんだ。陰謀だ」というクソたわけた言い訳が、通っちゃったんですから(爆) ありえない。普通はあり得ません。


この裁判、検察側が控訴しましたが、高裁でも「注射痕などの直接証拠がないから、有罪と推認できない」として控訴を棄却しています。


まあ、その点では弁護士さんo( ̄▽ ̄)b グッジョブ!なんですが…


「遅刻しそうだから飛ばしてた。信号も普通に無視した」という交通事故への断罪が、あまりないような気がするのは気のせい? 普通に考えてメチャクチャ危ないだろ? もうちょっと刑を重くしてもいいんじゃないのか? とか思ったんですが…。


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今日の衝動買い
posted by こめろんぐ at 17:14 | Comment(6) | TrackBack(1) | 実録!?裁判傍聴日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月19日

最近の裁判って随分変わった

裁判の話って久しぶりだなぁ。いや、傍聴ペースが落ちて、当たりの事件に出くわさないからなんですが(^_^;

でも、最近思うんですが…


刑事裁判が随分、聞きやすくなったなぁ。マジで。


例えば、公判の最初で、裁判官が被告人に声をかけるのですが、これまでは

「開廷します。被告人は前へ」

だったんですが、最近では

「それでは始めます。被告人は証言台の前に出てください」

ですから。
裁判官にもよりますが、若い裁判官ほど説明が丁寧です。その後も丁寧さは続きます。

被告人のなどを確認したあと、検察官の起訴状読み上げを行うわけですが、これまでは

「被告人は起訴状を受け取っていますね。では検察官、起訴状を朗読してください」

だったのですが、最近では

被告人に尋ねます。検察官から『こういう事実で起訴する』という内容が書かれた起訴状、という書類を受け取っていますか? ハイ。では今から、それを読み上げてもらいますので、間違いないかどうか聞いていてください。では検察官、どうぞ」


うん。これだと、傍聴している側にもわかりやすいです。

一事が万事、この調子で、時にはドラマ並みの状況説明もあったりして、聞いてる方は助かります。


なんで突然、こんなに丁寧になったかというと、やはり「裁判員制度」のせいでしょうね。

これまでは、傍聴席の素人なんか放置でもよかったわけですが、裁判員制度が始まったら、裁く側が素人ですから、放置というわけにはいきませんしね。

なので、検察官もやたら、丁寧にしゃべるようになりました。

いや、物腰は相変わらずえらそうなんですが、質問内容を丁寧に聞いてますね。否認事件で、供述調書の証拠採用を弁護側にけられた際に、検察官がよく発動する刑訴法328条についてももちゃんと、「証言を補強する証拠として提出します」って言いますし。(今までは「では、刑訴法328条により提出します」としかいわなかったもんね)

いろいろ言われている裁判員制度だけど、今のところはいいように作用しているぞ(爆)

ただ、この流れに乗り遅れているのは弁護士ですね。彼らだけが未だに昔通りの言動を繰り返しているんですねぇ。まあ、若い人はそうでもないようですが、若い人はあまり良い事件に当たりません(爆)。


というわけで、さして若くないオイラは最近、(・∀・)イイ!!事件に当たりました。これは、判決が出てから書きたいと思います。


その事件の前に、昔の事件を1つか2つ、書いてみようかなと思っていますが、これは、あまりおもしろくないかも(^_^;


というわけで、最新の傍聴記はもうちょっと待ってね、というエントリでした(^_^;


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posted by こめろんぐ at 12:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 実録!?裁判傍聴日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月28日

悪徳商法の詐欺事件(その3)〜身もふたもなくバッサリ!

ひょっとすると、忘れ去られたかもしれませんが、このエントリは「悪徳商法の詐欺事件(その1)〜容姿でこんなに印象が違うものか」「悪徳商法の詐欺事件(その2)〜見た目は関係なし(爆) の続きです(^_^;


さて、テレホンアポインターのお姉ちゃんが、ぎったぎたに叩きのめされた裁判が午前で終わり、午後から悪徳商法会社の幹部3人の裁判が始まりました。

この3人もまた、保釈されており、みんなそろってダークスーツ姿です。シャツも黒く、ネクタイはメタリック系でした。


…どうみてもカタギに見えないから。前回は詐欺を否認したけど、このカッコではどんな主張をしても、説得力ゼロのような気がします。さて、彼らはあの厳しい裁判長からの追及に耐えられるのか?(爆)


開廷し、弁護側から証拠提出がありました。どうやら被害弁済をしたようです。といっても、被害全体がでかいですから、立件された人への賠償なんて楽勝でしょうね…。

よく、詐欺系の犯罪では「被害弁済」と「示談金」を支払い、被害者から「宥恕の意志」をとることが多いです。被害者から「まあ、反省しているようだから、私も勘弁してやった。どうか寛大な措置を」といわせるわけです。金で。

今回もそれなのかと思ったら、「宥恕」までは取れなかったようです(^^) ザマアミロ( -.-)。ヘッ


さて、諸々の手続きが終わったところで社長の被告人質問です。弁護人からの質問は、まあ、被告の言い訳ですね。要旨は

1:だますつもりはなかったが、結果的にだましたことは経営者として申し訳なく思う。
2:セールストークは彼女たちが勝手にやっていたことで、こちらでセールス方法を指導したりしたことはない。
3:今回の事件の被害者に深く謝罪する。
4:もう、この商売には懲りた。いま、会社を整理している最中で、間もなくたたむ。正業でやってた輸入品販売をちゃんとやりたい。

…をうい。

「反省」と「謝罪」を強調しているものの、肝心な部分はテレアポの姉ちゃんに責任なすりつけかよ! 往生際悪い奴やなぁ…。

さて、検察側の質問タイムは意外につまらなく、つい居眠り(^_^; そして、いよいよ裁判官からの質問です。

裁判長 この教材販売会社をはじめたきっかけは?
社 長 以前、名古屋の教材販売会社で勤めていたことがあり、始めました。
裁判長 最初は、別の会社をやってたんだよね
社 長 ハイ。輸入雑貨の販売店を。でも、うまくいきませんでした。
裁判長 それで、教材販売を始めたのはなぜ?
社 長 以前努めてたので、ノウハウもありましたし、
裁判長 結局、楽にもうかるからじゃないの?
社 長 いや、そういうわけでもなく…
裁判長 で、前の会社でも、こんな値段で売ってたの?
社 長 ええ、まあ
裁判長 3万5000円で仕入れて、50万円で売ってたわけだ。
社 長 …
裁判長 普通ではあり得ない商売だとは思わなかったの?
社 長 そういう商売だと思ってました。
裁判長 普通じゃないでしょ。
社 長 はぁ

裁判長
 濡れ手に粟のボロ儲けじゃないのか!?(゚Д゚)クワッ

社 長 …

裁判長、バッサリキッタ━━(゚∀゚)━━!!!

社長のΣ( ̄ロ ̄lll) ガーンな表情が、背中越しに見えたような気がしました。

まあ、前の会社で、ボロもうけの仕方を知ってて、そのやり方をそのまま、自分でやってボロ儲けした。それ以上でも以下でもないもんなぁ…。

と同時に、せっかくの「テレアポ嬢への責任なすりつけ工作」もパアです。もう、裁判長o( ̄▽ ̄)b グッジョブ

あとの会話は大して中身がありませんでした。で、ほかの2人の幹部の被告人質問もありましたが、大した盛り上がりもなく、最後の場面に。

検察側が「きわめて悪質であり、再犯のおそれも高い」「酌量の余地なし」として、社長に懲役3年6カ月、罰金300万円を求刑。2人に懲役3年罰金100万円を求刑しました。

弁護側は「金を返して被害は回復している」「テレアポ嬢が詐欺行為に及んだもので、被告らに積極的関与はない」などと最終弁論しました。被告人たちの最終陳述も、「結果責任はあります。反省し、店は畳みますし、二度としません」といってましたが…


絶対またやるよ。おまえら。


傍聴席一同、そう思ったと思います(爆)



判決は、社長が懲役3年執行猶予5年、罰金300万円、他2人も執行猶予付きの有罪となりました。テレアポ嬢も執行猶予付きの有罪です。

まあ、金を返したという点を考慮し、ギリギリの執行猶予ということのようです。猶予期間も目いっぱい取ってますから。判決理由でも、「安価な教材を高額で売り付けて利益をむさぼった犯行。金目的の動機にも酌量の余地はない」と、バッサリ切り捨てました。ま、そりゃそうだよな

それにしても、金返せば執行猶予ですから、悪徳業者はなかなか減らないわけです。

たとえ金を返していても、これだけ悪質なのにはバッサリと実刑でいってほしかったのですが…。なかなかそうも行かないのでしょうか。その辺がよく、理解できないんですよねぇ。

というわけで、なかなか悪は成敗されません(^_^;

みなさんも、資格商法などにはご用心を。


<おしまい>

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2007年02月21日

悪徳商法の詐欺事件(その2)〜見た目は関係なし(爆)

このエントリは「悪徳商法の詐欺事件(その1)〜容姿でこんなに印象が違うものか」の続きです。

さて、迎えた被告人いっぱいの資格商法詐欺事件の第2回公判。


開廷表を見て、ちょっと驚きました。





裁判官の名前が、この前と違う!


女4人組だけでなく、男3人組の裁判も同じ人に変わってました。



裁判官が転勤したわけでもないのに、なぜ? と思ったのですが、よーくみると、裁判体の表示が「合議」になってました。

この事件、第一回では裁判官1人の裁判(単独)だったのですが、どうやら、被告人の多さと、1人を除いて全員否認という状況では一人で裁くのは困難として、裁判官3人による合議としたようです。

そういうこともあるんだなぁ…。多少驚きました。


しかし、今回に限って言えば、被告人にとって最悪の展開になったといえます。


なぜなら、この前担当していたK裁判官は、比較的物腰が穏やかな人で、丁寧に裁くのが特徴(と、傍聴席からは見えてます)。
これに対し、3人の合議のトップであるA裁判長は、ものすごく声が大きく、反省の度合いが足りない被告人や矛盾した証言をする証人にはびしびし追及する人です(以下同文)。

今回の被告人は詐欺師ですから、当然、頭の中で裁判対策も考えているはず。その前提条件は、物腰穏やかなK裁判官です。検察官よりも厳しい突っ込みのA裁判長は想定していないでしょう。

これは…荒れる法廷の予感です(爆)



さて、まずは女4人(テレホンアポインター)の裁判からです。
今回は全員保釈されたのか、ビシッとしたスーツ姿でそろって登場です。

通常、否認事件ではとことん、勾留され続けるものですが、このケースでは証拠となる調書の取り調べに同意したので、早くに保釈されたようです。

で、被告人質問が始まりました。
最初は見た目、江角マキコ的な顔と存在感。こないだのぼさぼさ頭とやつれきった顔とは大違いです。
で、弁護側の質問が始まってみると、否認の仕方が変わってきました。ようは、自分が主体的にだましたんじゃない、と言いたいようです。
「(共犯者)に言われるがまま、セールスしただけ。名簿やマニュアルなども(共犯者)にもらった」
「結果的に詐欺になってしまったことについては、被害者に申し訳ない」
などと寝言を言ってました。

検察側の質問も、供述調書の内容のチェックに終わり、いよいよ裁判所の質問タイムです。

裁判長「ところで、お客さんから苦情はたくさん来てたんでしょ」
江角似「はい」
裁判長「んじゃ、自分が売っているものが危ないと分かったんじゃないの?」
江角似「いや、その…」
裁判長「じゃ、なんで偽名使ったの?」
江角似「そうするよう言われたので」

をうい。明らかにヤバイもの売ってたからじゃないか!

裁判長「あなた、短大は出てるよね。ものの分別はある」

江角似「…」
裁判長「普通、それだけ苦情が来てたらヤバイと思うわけだが」
江角似「多少は感じましたが、すぐに(共犯者)に代わったので…」
裁判長「じゃあ聞くけど、給料かどれくらいあったの。総額で」

いきなり核心ツイタ━━(゚∀゚)━━!!!

江角似「成績にもよりますが、月に100万くらいは…
裁判長「…あなたね」
江角似「はい?」
裁判長「普通の仕事でそんなにもらえると思うの?」
江角似「いや、ちょっと大変な仕事だから…」
裁判長「普通じゃないと思わなかったの?」
江角似「いや、それほどたくさんの仕事を経験したわけじゃないので…」
裁判長「逮捕されるまで、詐欺とは分からなかったわけだ」
江角似「ハイ」
裁判長「しかしねぇ。たかだか本が十数冊売るだけで50万円。で、営業次第で月収100万円、お客からの苦情がたくさん来ていた。普通の人は気付くんだよ。普通じゃないと」
江角似「…」
裁判長「他の人のセールストークを聞いていても怪しいと思わなかったの?」
江角似「いや、他の人のセールスは聞こえませんでしたし、私も聞かれないようにしてました
裁判長「なんで?」
江角似「それぞれのノウハウもありますし、それはお互い秘密にしていたので」
裁判長「自分の営業の仕方を盗まれたくないわけだ」
江角似「まあ、その…」
裁判長「でも普通は聞こえるでしょ。同じオフィスなんだから」

江角似「机の下に潜って電話をかけてました」

…あのー。悪徳商法の皆さんは、そんな状況で電話かけてたわけですか(爆)
そ、その状況は想像しただけでちょっと笑えるかも(爆)

裁判長「あなたは逮捕されるまで分からなかったと言ってもね、世間では通用しないよ」

江角似「…」
裁判長「あなたね。お金がいいからって、何でも仕事を引き受けたら、また同じコトを繰り返すんじゃないの?」
江角似「それはないです」
裁判長「でも、今回は逮捕されるまで詐欺と分からなかった」
江角似「…」
裁判長「もういい、終わります(゚Д゚#)。下がってよし。次!」
江角似「Σ( ̄ロ ̄lll) ガビーン」


問答無用で切り捨てました!

確かに聞いても無駄だけど、いいのか? ここまで切り捨てて。

さて、次は起訴事実をすべて認めた「可愛い系」です。

似たようなやりとりで弁護側、検察側の質問が終わりました。

裁判長「それでは裁判所から質問します」
可愛い「ハイ」

…こころなしか、びびっている声に聞こえます(爆)

裁判長「あなたもまた、上司の指示でやってたっていうけど、仕方なくなの?」
可愛い「そうするよういわれたので」
裁判長「イヤじゃなかったの?」
可愛い「少しは」
裁判長「じゃあ、やめればいいじゃない」
可愛い「やめたら他に仕事がなかったので」
裁判長「転職先探そうとした?」
可愛い「いえ」
裁判長「結局、お金がよかったから続けたのか?」
可愛い「それもあります」


この辺のやりとりがエンドレスになりそうだったので、いったん退廷しました。ちょっと、用事もあったので。


で、用を足して法廷に戻ると、


裁判長「もういい(゚Д゚#)!終わります!席に下がって」

と、4人目の被告人に怒鳴りつけたところでした(爆)

そのあと、論告求刑が行われ、検察側は4人をボロカスに切り捨てて、全員に懲役2年を求刑しました。弁護人はそれぞれ、長々と弁論し、「反省しているので執行猶予をくれ」と求めました。


いやはや、裁判長の独壇場だなぁ。この裁判。ちなみに、このあと午後からは主犯格の社長ら3人の公判が行われました。裁判長は同じです!



<続くっ>

PS:一応、念押ししますが、オチはありません(^_^;


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2007年02月19日

悪徳商法の詐欺事件(その1)〜容姿でこんなに印象が違うものか

ある日の裁判所の掲示板に、ひときわ異彩を放つ表示がありました。

事件名は「詐欺・特定商取引に関する法律違反」で、被告が男三人、女四人、会社1つ。裁判官が1人の単独事件ですが、被告7人ということで、大法廷を使うことになってました。これはにおいます。ちょうど初公判でしたので、コレはおもしろそうと思い、法廷に向かいました。

法廷ではテレビカメラがセットされ、腕章を着けた報道陣もいました。

こりゃでかいヤマですよ〜。わくわくします。


裁判所の職員から「後ろからテレビ撮影するけど、どうしても撮りたくない人はいったん、退廷してね。なお、裁判官の入廷時は起立しなくていいから」との注意が。

裁判を題材にした映画を見ても分かるとおり、裁判官の入廷時は法廷と傍聴席は一同、起立し、一礼します。コレも日本流なんでしょうね。

さて、裁判官が入廷し、テレビ撮影が終わると、腰縄手錠姿の被告人がぞろぞろと入廷しました。1、2、3…6人? 一人足りなくないか? と思ったら…






私のすぐ後ろに座っていた若いねーちゃんが

すくっと立ち上がり、法廷に向かっていったの

です!



そして、被告席に着席しました。



ひ、一人だけ保釈されてたのか!


正直、この展開は読めませんでした。

それにしても…。


勾留中の被告人と保釈中の被告人って…


あまりに印象が違いすぎ!



男はこの際、置いておきましょう。

勾留中の女3人といえば、上下がスエット姿で、履き物は今日日、便所でも使ってないようなしょぼいサンダル。髪はぼさぼさで、一人なんか茶髪の根元の黒い部分が妙にくっきりと出てて、そりゃあもう、ひどいもの。化粧無しのすっぴんで、やつれて目つきも悪くなってました。「おまえ、絶対有罪」。そんな見た目です。

一方、保釈されていた1人は、ぴしっとしたスーツを着込み、スカートも膝上10センチと心得た長さ。黒いパンプスが地味すぎず派手すぎず、好印象です。さらに、髪もきちんと整えられ、化粧も薄化粧ながらバッチリ決まっています。唇も薄紅色で、うぶなOLという雰囲気。かわいいです。正直。

この4人のうち、一番刑が軽いのは誰か、と聞かれたら、間違いなく保釈中の1人を指すでしょう。
無罪主張なんかしようものなら、「うん、間違いない。他の3人は死刑」と認めてしまいそうです。

それくらい、印象が違います。いや、すごいわ。万が一、何かの間違いで犯罪をやらかしたら、頑張って保釈されるに限りますね。相当、金は積まないといけないでしょうけど。


さて、事件は何だったかというと、典型的な資格商法詐欺でした。「総合旅行業務取扱管理者」とかいう国家資格(実在するようです)の教材を4人の主婦に1セット50万で売りつけ、200万をだまし取ったというものでした。で、ナニが詐欺だったかというと、被害者に対して「資格は簡単に取れる」「資格が取れたら在宅で仕事があり、ナンボでも稼げる」と言ってだまし、クーリングオフで解約を申し出た人については「旦那にチクるぞ」「親のところに取り立てる」と脅して、解約しないようにし向けていたという話。(合格率数%の超難関資格のようです)。へそくりをため込んで内職を従っている主婦に電話でセールスをかけて、カモにし、次々と教材を売っていたとか。女4人がテレホンアポインター、男は1人が社長、1人が経理、1人が解約阻止役でした。

で、罪状認否で、男3人と身柄の女3人は「単なるセールストークで詐欺の意図はなかった」と起訴事実を否認。保釈の1人は「間違いありません」と起訴事実を認めました。




…なるほど。


認めたから保釈なわけね。で、認めないから「勾留」と。

典型的な「人質司法」ですなぁ。わかりやすすぎ。

認めた1人は「どうせ有罪なら、心証でもよくした方がいい」、そんな戦術なんでしょうか。そんなうがった見方をしちゃうオイラって一体(^_^;


さて、200万の詐欺事件と、ちんけな事件の割には物々しいなぁと思ったら、検察側の冒頭陳述で述べられた事件の全容がすさまじかったのです。
問題の教材は1セット35000円で仕入れ、それを50万円で販売。9000人以上と契約し、36億円以上の収益があったようです。

をうい。ボロもうけじゃないか。てか、なんでそんなにだまされるんだ?とか疑問に思うんですけど。しかも電話だけ。


冒頭陳述が終わると、被告数が多いのと、否認事件になったため、審理を男3人と女4人に分割することになりました。まあ、それが無難だろうねぇ…。


そして、その次の公判でものすごい展開が待っていたのです!


<つづく!>


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2007年01月08日

これはヤバイ! ガキの万引きの新手口?


警告:今回のエントリの内容は、絶対マネしないでください。
    刑法犯として処罰されます。



と、一応断っておきます。18禁ではないんですが、ヤバイ内容なので。
ただ、小売店でお勤めの方には知っておいてほしい内容ではあります(知ってるかも?)


裁判所の中で、もっともショボイ案件を扱うのが「簡易裁判所」です。といっても、たまにパンチの効いた交通違反の否認事件などがあります。裁判官もエリート判事ではなく、事務官からはい上がった特認判事がつとめることが多いので、結構含蓄のある話を聞けたりします。ただ、簡裁は傍聴人が少なく、傍聴席にいるとよく、被告関係者と間違われます(^_^;

さて、たまに簡易裁判所にも傍聴しようと、小さな法廷に行きました。

開廷表を見ると被告人は男の名前。「窃盗」事件で「新規」でした。よし。(新規、というのは、起訴状朗読から冒頭陳述も聞け、簡裁の場合はたいてい、最後まで手続きを進めるので、事件の全容を聞けます)

傍聴席でたたずんでいると、案の定、廷吏のおじさんから「証人の方ですか?」と聞かれました。「いや違います。タダの傍聴」と応えると、ふーんという表情。まあ、滅多にいないですもんねぇ…。

やがて、50くらいのおばさんが弁護士に伴われて法定に来ました。おばちゃんは傍聴席へ、弁護士は法廷の被告席の方に行きます。やがて、お巡りさんに伴われて、腰縄手錠姿でやってきたのは二十歳前後の若い兄ちゃんでした。グレーのトレーナー上下で、髪は丸刈りです。

起訴状によると、この兄ちゃん、20歳で、ホームセンターで(スピード取り締まりの)レーダー探知機などカー用品10点(30000円相当)を万引きした、とのこと。派手やなぁ…。

罪状認否ではあっさり「間違いありません」と認めました。

おちゃんの検察官が冒頭陳述を読み上げたのですが、思わず工エエェェ(゚Д゚;)ェェエエ工 と叫びそうになりました。

●この兄ちゃんは車の免許を持ってない
●なのに先輩から乗用車を譲ってもらった
●車に乗っているうちに、レーダー探知機やドリンクホルダーがほしくなった
●なので、万引きでゲットすることにし、先輩が以前に万引きに成功していた店で実行することにした
●万引きがばれないよう、あらかじめ細工した紙袋を準備し、店に入って、目ぼしいものを物色し、紙袋に入れた
●店を出たところで警備員に呼び止められ、御用になった



…あのー。いろいろな意味で、ダメです。この兄ちゃん。


免許取れよ!
欲しいものは万引きじゃなくて買えよ!
 大人なんだから!

そこはグッとこらえます(当たり前)。

で、兄ちゃんの母親(さっきのおばちゃん)が情状証人に立ちました。(情状証人とは、被告人の人となりや今後の被告の監督状況などを証言し、少しでも刑を軽くして貰おうという証人)


弁護人「息子さん、少年院を出たばっかりじゃなかった?」
母親 「ハイ」


…あの…少年院の矯正教育、ダメじゃん。

弁護人「何で少年院に入ってたの?」
母親 「集団暴走行為で…」

車は絶対、暴走族仕様だ、見てないけど間違いない、と確信しました。

弁護人「少年院を出て悪い仲間と会ってたりした?」
母親 「本人は、もう会わないといっていたのですが、また会ってたようです」
弁護人「もし、また社会復帰できたら、今度はどうするの?」
母親 「今度こそ、悪い仲間とは縁を切らせます。父親の会社で働かせます」


…本人次第だなぁ、こればっかりは。さて、質問者が変わって検察官からクエスチョン。

検察官「前回少年院はいる前も、警察のお世話になってるね」
母親 「ハイ。信号無視して逃げました」
検察官「そのときはどういう処分?」
母親 「保護観察処分です」
検察官「で、保護観察中にまた、暴走行為をやったわけだ」
母親 「…ハイ」
検察官「で、今回の件は少年院を退院して、保護観察期間中だよね」
母親 「ハイ」
検察官「社会復帰したら、ホントに監督できるの? 不安だからさ」

オイラも不安です。多分、またやらかすんじゃない? これ、下手すると実刑かも(^_^;

さて、被告人質問です。「紙袋に細工」の正体が明らかになりました。

検察官「今までやったのと違って、計画的だよね。悪質だよ」
兄ちゃん「ハイ。申し訳なく思ってます」
検察官「金なかったの?」
兄ちゃん「カー用品に使うのがもったいなかったので」
検察官「もういい加減大人なんだから、社会のルールくらい分かるよね」
兄ちゃん「ハイ」


オイラもそこは追及したかった!

検察官「ところで、今回の紙袋の細工ってなんでやったの?」
兄ちゃん「万引き防止のタグがセンサーに反応しないように」
検察官「それで内側にアルミホイルを張ったんだ
兄ちゃん「ハイ」
検察官「ほかにやったことは」
兄ちゃん「ないです」
検察官「じゃあ、なんでセンサーが反応しなくなるって知ってるの?」
兄ちゃん「友達に聞いて、知ってたので、家で用意しました」
検察官「今回は反応した?」
兄ちゃん「しなかったです。けど、警備員の方に呼び止められました」



工エエェェ(゚Д゚;)ェェエエ工


袋の内側にアルミホイルを張っていると、センサーが反応しないの? マジですか?

えええと、皆さん、絶対マネしないでください! お母ちゃんを泣かせますよ!

ちなみにこのお母ちゃん、公判まで一度も面会に行かなかったそうです。でないと、甘えて反省しないからだとか。確かに、そんな感じがしました。

この兄ちゃん、このあと涙を流しながら反省の弁を述べていましたが…いい加減大人になれよ。


っていうか、最初の事件で反省してたら、少年院に行くこともなかったし、少年院に行っても懲りないんだから、あんまり信用してもらえないと思うぞ。だって嘘泣き丸出しだもん。

ちなみに求刑は懲役1年で、執行猶予にする場合は保護観察付きとすることを求めました。

判決はその求刑通り、保護観察付き執行猶予4年が付きました。


まあ、保護観察が付いたので、向こう4年以内に交通違反でもやらかしたら刑務所行きです。

そうならないことを祈ってますが…。



なんか…



今ごろ刑務所にいそうな気がします…


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2006年12月07日

被害者がぼろくそに言われる殺人事件

殺しといえば、普通は殺した方が全面的に悪い。同情の余地はほんのちょっぴりしかないか、全くない。これが相場です。

だって、被害者の人生にピリオドを打つ権利は誰にもないのですから。

それが、「被害者に懇願されてやった嘱託殺人」でも同じ事。ましてや、妻の不倫相手を殺したとなれば、多少の同情の余地はあれど、身勝手な同期に酌量の余地無し、ということで厳罰が下されるものです。


ところが、そうではない事件をたまたま、傍聴しました。


事案の概要を時系列に書くと(つまり、ちょっと回りくどいです)

1:被害者の男Aは加害者Bの幼なじみの友人である
2:Aは妻子ありだが、昔から素行不良で定職にも就かずぷらぷらしていた。親の財産で生活していた。
3:Bは毎日、朝から晩まで養鶏場で勤務していた。
4:Bの妻とAは、Bの不在をいいことに、不倫関係にあった。Bはそのことに気付くと、何度も「もうやめてくれ」と説得。にもかかわらず、いつの間にか不倫関係復活。こんな事が繰り返されていた。
5:その日、妻は「今日は焼き肉だから早く帰っておいで」とBにメール。Bはなるべく早く帰ろうと、仕事をフル回転でこなした。
6:帰り道を急いでいると妻が「今日は焼き肉やめたから。遅くなってもいいよ」とメール。
7:でも、仕事が終わったから、と家路を急ぎ、自宅(アパート)に着くと、駐車場でAとばったり出くわした!
8:「なんでここにいるのか。もう来ないと約束しただろ」などと口論。その場は収まった。
9:アパートの部屋にはいると、妻が裸同然の姿でいた。食卓には焼き肉を食ったあと。
10:Bはついに逆上し、台所から包丁を持ち出し、ちょうど車で駐車場を出ようとしたAにかけより、包丁で車の窓越しにめった刺し。Aは死亡した。


被告人のBは、背がちょっと高く、色白のやせ形で、根暗な印象。「しおらしい」を絵に描いたような態度を取っていました。あまり、まがまがしい雰囲気は伝わってきません。名前などを聞かれた時も、申し訳なさそうに答えました。

罪状認否では、Bは認めたのですが、弁護人が「殺意は否認する。殺すつもりで指したんじゃない」と殺人罪の成立を争う姿勢を見せました。


証人尋問で出てきたのは、Bの元職場の上司でした。恰幅の良い。温厚そうなオッチャンで、スーツが全然似合ってませんでした(爆) 作業服が似合ってると思われ(^_^;

●Bはホントにまじめな奴です。人がいやがる仕事を率先してやってくれ、職場の信頼は厚かった
●奥さんの不倫のことは悩み相談として受けていた。度重なる不倫に、職場のみんなは「そんな悪い奥さんと別れちゃえよ」と離婚を勧めたが、Bは「おれ、奥さんと子どものことが好きなんだ。愛しているから別れられないよ」と言っていた。
●「おれは、奥さんと子どものために一生懸命働くのが生き甲斐なんです」と常日ごろから言っていた。本当に奥さんと子どものことを愛していたようだった。
●確かにやったことは悪いと思う。しかし、よほどの事情がなければ暴力なんて振るわない。おとなしい性格だ。職場ではトラブルなどなかった。
●本人が弁護士さんを通じて、辞表を出して会社をやめた形になっているが、B君が社会復帰したら、是非、うちでもう一度働いてほしい。これほど信頼できる社員は得がたい人材だ。いつまでも待っている。

などと発言しました。殺人の前科が付くかもしれない人間に「是非もう一度来てほしい」とまで言わせる被告人B。相当、人はいいようです。

上司の証言の最中、Bは被告人席で申し訳なさそうな表情をしつつも、背筋を伸ばして話を聞いていました。
終わると一礼し、小声で「ありがとうございました」とあいさつ。その目には涙がちょっと浮かんでいました。

次に出てきたのはAの母親です。雰囲気は、細木数子のような感じ。横柄な態度がにじみ出ていました。

●ホントに親孝行な良い子だった
●我が子を殺され、喪失感でいっぱいだ。
●残された妻や子はどうなるのか心配。
●Bがにくくてたまらない。死刑にしてほしい。

などと語りました。「不倫」についての質問は「知りません」とスルー。ずるいオバハンです。


ここで裁判長、母親をキッとにらみつけ、いきなり調書の一部を読み上げました。

Aのちゃらんぽらんな生活態度だけでなく、何度も何度もBとの友情を裏切り、不倫を続けた行状などの部分です。その上で


「あんたの息子はこんな事をしていたわけだ。それでも、犯人を死刑にしたいと言い切れるのか!」

と怒鳴りつけました!



あの…




殺人の被害者の母親なんですけど…



いや、確かにイっちゃった母親でしたけどね。私はAのことはまったく知りませんが、何となく「この親にしてこの子あり」と思えるような気がしましたもん。



ちなみに、Bの妻は証言しませんでした。







で、被告人質問は別期日になってしまい、見逃しました。求刑は懲役13年でした。



迎えた判決期日。


裁判長はBの殺人罪の成立を認定し、懲役8年を言い渡しました。



ずいぶん軽くない?





と思ったら、判決理由がすごかった!



殺人罪の成立については「こんなにめった刺しにしているので、弾みで刺さるわけがない。傷の深さも相当深い」と理由を説明。その上で、情状について

*残虐な犯行だが、その動機には同情を禁じ得ない
*犯行の背景には被害者の背信的行為があり、被害者にも相当な落ち度があった

との理由で減軽したということです。


「背信的行為」とか「相当な落ち度があった」とか、

「被害者の方が悪い!」と言ってるに等しい判決理由でした。


すげぇ。


そして、判決後の説諭で、裁判長はBにこう、言いました。





「親友は真の友ではなかった。

愛する妻は良い妻ではなかった。

十分理解できるが、

殺害は許されない。

わかるね?」





Bは消え入るような声で「ハイ」といい、嗚咽を漏らしました。
弁護人にも声をかけられた後、腰縄手錠をかけられ、刑務官に抱えられるようにして法廷を出て行きました。

普通、裁判長からの説諭っていうのは、もっと無味乾燥なもので、形式的に「ちゃんと更正してね」というにとどまります。ここまで踏み込むのはきわめて異例です。


いやぁ、この裁判長の台詞、いいわぁ…。



これが今年で、もっとも心に残った言葉となりました。


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2006年11月19日

裁判員を断る方法(マジで悪用厳禁、一部修正)

皆さん、ご存じのように、2009年5月から、重要な刑事事件の裁判に、無作為抽出された国民が参加する「裁判員制度」が始まります。

裁判所は最初、「素人に裁けるか」といやがってたクセに、いざ始まるとなると必死です。
国民が裁判に参加することをいやがっているからだとか。

浸透まだまだ裁判員制度 タレント投入しPR懸命

 平成21年5月までに導入される裁判員制度の理解度アップを目指し、最高裁がメーンのイメージキャラクターには、タレントの仲間由紀恵さんを起用し新聞や雑誌、インターネットといったさまざまな媒体を通じた広報戦略を展開している。全国民の70人に1人が一生に一度は裁判員を経験することになると想定されているが、アンケートでは6割以上が「参加したくない」との結果も。最高裁は制度の意義のPRに懸命だ。
 ≪広告に6億円≫
 笑顔で手を差し伸べる仲間さんに、「ともに。裁判員制度」の文字が重なる。10月25日付の産経新聞に掲載されたカラーの全面広告。放映中のNHK大河ドラマ「功名が辻」に出演するなど、活躍中の仲間さんを起用した理由について、最高裁は「国民に幅広く親しまれており、裁判員制度の意義や裁判員の役割を一層理解いただけると期待した」と説明する。
  仲間さんが登場する広告は来年3月にかけて、産経新聞をはじめとした全国紙のほか、「週刊東洋経済」や「文芸春秋」など雑誌約10誌でも掲載される予定。 ネット上でも「ヤフージャパン」のサイト内に、裁判員制度に関する情報提供のページを設けた。トップページ右下の「特集」→「PR企画」→「何?なぜ? 『裁判員制度』」と順番にクリックしていくと、画面に仲間さんが現れる趣向となっている。
 裁判員制度に関する最高裁の今年度の広報予算は約13億円。このうち、仲間さんを中心としたメディア広告に約6億円を投入している。
 昨年度後半には、タレントの長谷川京子さんを起用。今年度も後半に集中した広報を展開することについて、「裁判員の選任手続きの中身が決まってくるなど、制度が徐々に具体化してくる今年度の後半に凝縮させることで、効果的な広報を狙っている」と話す。
(中略)
 ≪裁判員制度に関する最高裁の主な広報戦略≫
仲間由紀恵さんを起用した新聞や雑誌などの広告(〜年度内)
・携帯電話のサイト開設(11月13日〜)
・メールマガジン配信(年度内に開始予定)
・地裁がある全国50カ所でフォーラム開催(年明けの1〜3月)
・全国約100の映画館で広報フィルム放映(12月中旬から下旬)
・第2弾となる映画の作製(年度内完成予定)
・中高校生を対象としたアニメーション作製(同上)
・社会人を対象とした漫画冊子の作製(同上)
サンケイ「IZA」より

いやぁ、ホントに必死だな。裁判所。


当ブログのカテゴリ「実録!?裁判傍聴日記」「大人限定の法廷」でもわかるように、私は裁判員制度については肯定的です。法曹界の人々、特にエラい人々は非常識な人が多いですから、一般人の一般常識を教えてやらなきゃいけないんですよ。まじで。

裁判官がどれほどのものかは、「裁判官が日本を滅ぼす」(門田隆将著)を読んでみるとよくわかります。ひどいもんですよ。



ただ、こんな私でも忌避したい事件があります。以前も書きましたが、ヤクザがらみの事件です。

ヤクザは配下を使って裁判員の住みかを割り出すことなど朝飯前でしょう。組織が組織なだけに、家族を危険にさらしかねないわけです。これは、いくら国民の義務といってもかなわんわけです。家族を守るのが男たるものですから。


ってなわけで、私は裁判員を100%断れるテクニックを考案しました。


さて、裁判員になるときはいくつかの手続きを踏んで、法廷に出ることになります。

1:「あなたは裁判員の候補者リストにノミネートされました」というはがきが届く。
2:裁判所から突然、呼び出し状が来る。○月○日に出頭せよ、的な内容。
3:期日の朝、裁判所に出頭すると、結構な人数の「候補者」がいる。
4:候補者は裁判官、検察官、弁護士の面接を受ける。
5:3者が協議して、裁判員を選ぶ。選ばれた人は午後から裁判員として法廷に出る。

ざっとこんな手順です。多くの人は「3」の出頭を断ろうとします。これは無駄な作業です。そうとう重い病か、長期海外出張中でもない限り、「義務だから来てね」と言われるのがオチです。
<追記>正確に言うと、「介護や育児」「自分がやらないと著しい損害が出る仕事がある」などの正当な理由があるときは、出頭を辞退できます。

私が推奨するのは、「4」の面接時の対応です。

この面接で、どんな事件なのかを聞きます。事件を言ってきたら、そのときに


「その事件、知ってます! 新聞でもよく読みましたよ。ひどい事件ですよね。犯人は死刑にすべきだと思ってました!」

と応えるのです。ここで、被疑者として逮捕、起訴された人の名前を言えたら、なお良しです。


これで、100%裁判員に選ばれることはありません。

報道等により、事件に予断を持っている者や偏った見方をしている者は、弁護側か検察側が忌避する仕組みだからです。言うまでもなく、刑事裁判の被告人は「推定無罪」の鉄則があり、裁判員裁判でも適用されます。これを悪用し、ワザとその事件に予断を持っているふりをする。これにより、裁判員に選ばれることを回避=裁判員を断ることができるのです。


なお、裁判員裁判の呼び出しは、被告人が起訴されてからですので、呼び出し状が来た日付の20−30日前に被疑者が逮捕、送検された事件を探して、来るべき日に備えて予習しておくと完璧です。当該日付の新聞を図書館で読んでメモしておけば完璧です。また、その後に出た詳報の内容も押さえておくとグッドです。

裁判員裁判の対象事件は、死刑・無期に相当する罪(殺人、強姦致傷、強制わいせつ致傷、強盗致傷、現住建造物放火、テロなど)と、人を故意に死なせた罪(危険運転致死など)となっていますので、これだけで事件の絞り込みはできるでしょう。


なお、裏技として、「1」の「裁判員候補ノミネート」を防ぐ方法もありますが、大変です。

といっても、毎年12月11月に住所を変えるだけなんですが(市区町村をまたぐ必要あり)。候補者は年始毎年12月の「選挙人名簿」から無作為抽出するので、年末11月に引っ越せば、公選法の規定により、3カ月間はこの名簿に掲載されません。これを利用します。
(註:はがきの発送は1月ですが候補者選びは12月でした。修正します)

ただ、引っ越しの実態がないのに住所を頻繁に変えると、「公正証書原本不実記載等」という罪(五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金)に問われますので、ご注意を。






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2006年11月04日

裁判傍聴が流行るの? 廃れるの?

なんだか最近、東京の裁判傍聴娘集団「霞っ子クラブ」があちこちで批判されているそうです。

きっかけになったのは、このニュース番組なのかな? (っていうか、こんな早朝の番組を録画してYou Tubeに貼った奴が出てからか…




まあ、この映像だけ見たら賛否両論だわなぁ…。

んなこといったら、阿曽山大噴火さんなんて、不謹慎の極みでしょうが。スキンヘッドでスカート姿で傍聴席にいるんでっせ!(あ、姿形の問題でなくて)

批判の声と言えば

「不謹慎だ」とか、
「被害者に失礼だ」とか、
「被害者の身になって考えてみろ」とか…。

まるで、当ブログへの当てつけのようだ(^_^;

当ブログをPCでご覧の方はご存じの通り、たまに「法廷傍聴記」をやっているほか、「18禁」の下半身系の事件ばかりを集めた「大人限定」バージョンもやってます。「大人限定」の不謹慎さといったら、霞っ子のはるかに上を行っていますよ。間違いなく。


で、ニュースによると、一般人だけでなく、法曹関係者からも「法廷をおもしろおかしく垂れ流す垂れ流す姿勢ときたら、まともな人間性を有しているとは思えない」とのブログでの声があるとか。






ちょっとまて。



一般人が言うならともかく、法曹関係者にはその台詞を言う資格はないぞ。



オイラは当ブログで書いてきたこと、これから書くことも勘案し、法曹関係者にこれだけは言わせてもらいます。



刑事被告人と1度会って、法廷に2度出て適当にしゃべるだけで、税金から12万円をもらう手抜き稼ぎが横行している弁護士さん。


強姦被害者を、公開の法定の場でセカンドレイプしまくるセクハラがまかり通っている検察官さん。


国・検察の屁理屈をすべて認め、世間の常識を遙かに超越した非常識な判決ばかり書く裁判官さん。




おまえらの方が、まともな人間性を持ち合わせているかどうか、疑わしいよ。


ふざけるな! 


少なくとも、おまいらに霞っ子を批判する資格はない!


オイラは少なくとも、霞っ子さんの活動はアリだと思ってます。だって趣味だもん。法廷傍聴を趣味と言い切れる女子。いいじゃないですか。どうせ、裁判員制度が動き出したら、世の中の200人に一人は一生に一度、裁判員制度に引っかかってくるんですよ。法廷を身近に感じること、自分なりに咀嚼して理解することができる分、時代を先取りしていますよ。ええ。本も出しちゃったけど、あれって、「鬼嫁日記」みたいなもんでしょ。


えーっと、近々、『18禁』ネタを書こうかな(^_^; 最近書いてないし…。不評を覚悟で!


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2006年10月15日

創●学会員の業務妨害事件

今回のエントリは、某宗教系の方は読まれない方が良いと思います(^_^;


裁判所の刑事の開廷表を見ていると、まれに見かけるのが「業務妨害」の事件。

似たようなもので「威力業務妨害」というのがありますが、これはヤクザ屋さんが絡んでいることが多い事件です。それはちょくちょく見かけます。


ある時、「業務妨害」の単独の事件がありました。法廷のドアにあるのぞき窓をのぞくと、傍聴席には坊さんたちの姿が。結構にぎわってます。一体どんな事件なのかと傍聴してみることにしました。

この勘は大当たり! おもしろい公判となりました。

法廷につれてこられたのは、髪がぼさぼさで、貧相な眼鏡をかけた普通のおっさんです。

起訴状によると、事件は、創●学会員のおじさんが、宗教上対立する日●正宗の寺に7カ月間で計3000回、嫌がらせ電話をかけ続け、寺の業務を妨害したという内容。


罪状認否でおっさんは、甲高い声で、声高にこういいました。

「私は寺の業務を妨害していません。電話の際、自分の名前を名乗り

日顕の邪義を破釈したい、

という用件を伝えておりました。迷惑はかけておりません」

??????? 私、無宗教の人間なので、全然意味が理解できませんでした。っていうか、用件を伝えようが伝えまいが、相手がかけてほしくないのにかけ続ければ、どう考えたって迷惑だよ! 自分しか見えてないのかな?


裁判長が「それは起訴事実を否認する、ということかな?」と聞くと、このおっさん

「ハイ、私は『日顕の邪義を破釈する』という用事でかけておりました」と、背筋を伸ばして主張。

裁判長が「それはつまり、宗教上の教義についてただす、ということかな?」と改めて聞くと、

「ハイ、日顕の邪義を破釈するということです」と解答。弁護人がすかさず「その通りでイイです」とフォローしましたが、全然フォローになってないよお。


検察側の冒頭陳述で以下のようなことが明らかにされました。

・被告人は創●学会の○○支部の副支部長だった。パチンコの景品交換所で働き、生計を立てていた。独身。前科前歴無し。
・かねてから、宗教上対立する日●正宗の教義が誤っていることを糾すため、あちこちに電話をしていた。本件はその一環。他の寺にも同様の電話をかけ続けている。
・多いときは一日に100回以上も同じ寺にかけ続け、「クソ坊主はいるか」「馬鹿の住職はいるか」などと罵倒した。
・あまりに多数回かけたため、電話のダイヤルがこわれて戻らなくなった。ちょうどそのころ、Yahoo!BBの勧誘が来て「電話代が安くなる」と聞き、BBフォンに加入。電話をプッシュホンに変えてかけ続けた。
・あまりに電話がひどかったので寺が「これ以上かけたら刑事告訴する」と警告。その警告も無視してかけ続けた。


…黒電話でかけ続けたんですね。しかも、リダイヤル機能がない中、よくかけ続けたなぁ。指は痛くならなかったのか。っていうか、黒電話のダイヤルがこわれるくらいかけ続けるとは。ものすごい執念です。

あの、その日顕の邪義を破釈するっていうのは、そんなに大事なことなんですか?>創●学会の方


証拠調べで、問題の電話の録音が再生されました。


「創●学会の○○だ。クソ坊主の○○を出せ!」

「あの、迷惑ですのでもうかけないでくれます?」
「おまえに話をしているんじゃない。馬鹿坊主に用事があるんだ」
「切りますよ」
つーつー

ぷるるるるる がちゃ
「創●学会の○○だ。勝手に切るな馬鹿」
「いい加減にしなさいよ。迷惑ですよ」
「誰の迷惑だ? 早くクソ坊主を出せ」
「切りますよ」
つーつー


まあ、住職が電話に出ても、よくわからない会話の繰り返しになったんでしょうけど。


被告人質問が始まりました。検察側の質問のやりとりは…

検 「アナタ、迷惑をかけた自覚はないの?」
被 「私は日顕の邪義を破釈するという目的でかけています。日●正宗の寺は私の破釈に応える義務があります
検 「なぜ、アナタの問いかけに応える義務があるのか」
被 「創●学会員の私が日顕の邪義を破釈すると言っているのですから、当然、その破釈に応える義務がある。当たり前のことです」
検 「用件を伝えれば、迷惑にならないと思っているの?」
被 「日●正宗の寺は私の破釈に応える義務があるのです。義務ですから」

こんなやりとりがエンドレスで続きました。一つのことに夢中になると、何も見えないのかなぁ…

続いて弁護側の質問!

弁 「アナタは宗教上の教義を糾すために電話をかけ、相手はその宗教上の教義に関する問いかけには応える義務がある、と思っているのね?」
被 「ハイ。(以下同文^_^;)」
弁 「とはいえ、弁護人の私との接見で、たとえ宗教上の理由であっても、このように何度もかけ続けるのが法に触れることはわかりましたね」
被 「ハイ。それは理解しました」
弁 「終わります」

うまい! イっちゃってる宗教信者をうまく、丸め込みました。しかし、このあと、せっかくの弁護人の努力を無にすることをやっちゃいます。

裁判官からの質問です

裁 「ところで、アナタは社会復帰したあと、宗教活動はどうするの?」
被 「ハイ。何度もかけるのが迷惑で、法に触れることもわかりましたので

これからは一日1回に限定してかけたいと思います」(きっぱり)

再犯します宣言キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!(爆)

この瞬間、弁護人はマジで頭を抱え込みました。裁判官もずっこけた様子。眼鏡がずるっと落ちてました(爆)

裁 「え、これからもかけるの?」
被 「ハイ。1日1回に限定して」(胸を張って)

…ε-( ̄ヘ ̄)┌ ダミダコリャ…


判決は懲役1年、電話機1台没収。

なんと実刑です
。この程度の軽い犯罪で初犯で実刑は異例です。判決理由で裁判官は

「今後も『一日一回に限定して電話をする』と述べるなど、反省の情に乏しく、再犯の可能性は著しく高い。一定期間矯正施設に収容し、矯正教育を施すのが適当」などと述べました。

それにしても、「宗教は、縁起と癒しと救いの心を売る商売」としか思っていない罰当たりな私にとっては、彼がそうまでして電話をかけ続け、「破釈」というものにのめりこんでいったのか、まったく理解できません。ただ、法廷での彼の様子を見ていて、「破釈」に命をかけているのはよくわかりました(爆)


で、この創●学会員のおじさん、その後、量刑不当で控訴しました。

控訴審の被告人質問で弁護人が相当言い含めたらしく、

「もう、電話はかけません」と言わしめました。

ただ…


「今後はどうしますか」との質問に








「今度は、寺に直接訪ねていきたいと思います!」








こ、懲りてない( °◇ °)・・・




まあ、判決は執行猶予が付きました。


「控訴審で『2度と電話をかけない』と述べるなど、深く反省した」という理由ですが…


このおっさん、きっとどこかでまた、「破釈」の電話をかけ続けているような気がします。



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2006年09月20日

いのちの値段

死亡交通事故の民事裁判では、文字通り、「亡くなった方の命の値段」をやりとりします。

こういうと、身もふたもないのですが、亡くなった方の遺族は、主に

1:亡くなった方が今後、稼ぐはずだった所得から生活費などを控除した額(遺失利益)
2:家族が亡くなったことによる精神的苦痛を慰謝するための対価(慰謝料)
3:破損した物品(車など)の被害回復(損害賠償)


の3つの金を事故加害者に請求することができることになっています。(1は「相続」という形になるようです)

実際には、ほとんどの場合、事故加害者本人と交渉するのではなく、事故車にかかっている任意保険の保険会社との交渉になります。


多くの場合は示談が成立し、保険屋の言い値を受け取ることになるのですが、算定方法に不満があったり、「事故の真相が知りたい」と遺族が望んだ場合、正式に民事訴訟となります。



交通事故の民事訴訟は、裁判所にある開廷表では、個人対個人の表記となり、事件名も「損害賠償等請求事件」となるため、なかなか「これが交通事故の民事裁判だ」と見つけるのは大変です。ただ、交通事故関係を数多くやっている弁護士がいるので、これを目安に法廷をのぞくと、高い確率で交通事故の民事裁判に遭遇します。



私はいくつかの交通事故の民事裁判を傍聴しましたが、民事は過去のエントリでも触れたとおり、書面のやりとりばかりで非常にわかりにくいのです。ただ、裁判所で印紙代を払えば、やりとりされた書面は閲覧できるので、過去にあった意見のやりとりも含めて大まかにつかむことはできます。




ある交通事故で9歳の息子さんを失ったお父さんが、加害者を訴えた裁判がありました。


その交通事故は、あり得ない状況で起きました。おばさんの乗用車がハンドル操作を誤り、車道から歩道に突入。歩道を数百メートル暴走し、歩道を走っていた自転車4台を次々とはねとばしました。そして、1人が死亡、3人が大けがを負ったのです。子供たちには南野落ち度もありません。安全なはずの歩道を走っていた子供たちがなぜ、輪禍の犠牲にならねばならないのでしょうか。あまりに理不尽な事故でした。


このおばさんは刑事で実刑を食らいました。事故の状況だけでなく、事故後もまったく誠意のない態度で遺族に接しつづけたことが、実刑に大きく傾いたのだと思います。

そして、お父さんら遺族が賠償を求めて民事訴訟を提訴しました。おばさんが相手ですが、実質的には保険会社との戦いとなりました。

お父さんは、先ほど上げた請求のうち、「遺失利益」については「子供が大学に通い、就職して平凡に暮らせたと仮定した額。低金利時代を反映し、中間利息控除を3%で計算せよ」と、「慰謝料」については、30年間にわたって毎月月命日に分割払いせよ、と主張しました。

保険会社は「息子が大学行くかどうかわからん。通常通り、高卒で働いたと仮定しろ。中間利息控除も昔から5%と決まってるんだ(゚Д゚)ゴルァ」「慰謝料の分割払い? 寝言は寝てから言え」的な主張をしたのです。

現在の「遺失利益」の算定では、小中学生以下の人が亡くなった場合、その子は大学に進学する保証がないとして、高卒で働いたと仮定することしか認めてくれません。世の中、ほとんどの人が大学に行っているのに。悲しいかな、これが裁判所の「常識」です。大卒より高卒の方が所得が低いと見なされます。

遺失利益の算定というのは、その人が将来得られたと思われる金額を足し算するのですが、未来にもらえるはずだった金を今受け取ると、本来受け取るべき時期になったときには利息が発生してしまうため、「得する」ことになってしまいます。この利息を引くのが「中間利息控除」です。

で、この中間利息控除なんですが、なんと、この低金利時代に、「5%」の利息が付くと仮定するのが一般的なんです。そんなに利息が付くわけねえだろ! というのが一般常識なのですが、裁判所には通じません。そして、5%で計算すると、控除額が大きくなるため、保険屋さんにとっては支払額が少なくなり、ありがたい限りだったわけです。


一審の地裁は、慰謝料の分割払い(30年間毎月、月命日に)を認め、中間利息控除も3%でOKと判断しました。ただ、「大卒扱い」は認めませんでした。2審の高裁もその判断を支持しました。

ところが、最高裁は「利息が3%というのはどうなの? 普段通りに判断してちょ」と高裁判決を破棄、審理を高裁に差し戻したのです。


もう一度行われた高裁の審理で、お父さんは利息計算について「現在主流の複利式ではなく、かつては認められていた単利式を採用し、現在の低金利時代との整合性を図るべきだ」と主張。さらに「うちの子が大学に行っていたはず、ということを認めてくれ」とも訴えました。


実は中間利息控除の計算方法がかつて、東日本の裁判所ではライプニッツ式という複利計算、西日本ではホフマン式という単利計算で行われた額を認めていました。いつの間にか複利のライプニッツ式に統一されていたのです。


さて、2度目の高裁は、新しい主張の「単利=ホフマン式」は認めませんでした。その代わり、息子さんが大学に行くことを仮定することを認めたのです。

お父さんはさらに計算方法の是非を最高裁に判断を仰ぐべく、上告。地元紙報道によると、先日、最高裁は上告を棄却したようです。


お父さんは金ほしさにこの裁判を戦ったのでしょうか。





そうではないと思います。





お父さんは、亡くなった息子さんが、本来生きるはずだった人生を認めてもらいたかったんだと思います。夢も希望もあった息子さんの未来が突然、暴走自動車に奪われた、その喪失感は筆舌に尽くしがたいものがあります。

お金の額より、その認定内容にこだわった。だからこそ、これだけ長い裁判をやり抜いたんでしょう。傍聴席からの勝手な感想なのですが。

裁判で勝ち得た「いのちの値段」は、失った家族の「人生の証」でもあった。そう信じたいです。



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2006年09月19日

交通事故の裁判

飲酒運転による事故が大きくクローズアップされています。

どうも、マスコミ報道は「公務員による飲酒運転はけしからん」調ですが、私はいろんな交通事故の裁判を傍聴するにつれ、「飲酒運転は人として許されん!」と思うようになっています。

ここで白状しますが、私は学生時代、飲酒運転の常習犯でした。まあ、世の中をなめきっていましたし、自分自身を過信していましたね。「これくらいの酔いなら運転しても大丈夫」「むしろ、目が冴えていいくらいだ」など。
で、運転をて「こりゃヤベェ。このままだったら事故る」と思って、ヒヤヒヤしながら徐行運転して帰ったことも。よく無事だったなあ。オイラ。

ハイ、反省してます。もう二度としません。

さて、交通事故の裁判の話に戻ります。

ケース1 横断歩道の自転車をはねた事故     

多くの交通事故では、加害運転手の「刑事責任」を問う刑事裁判と、「賠償責任」を追求する民事裁判の2つが行われることになります。ただ、刑事裁判で正式裁判になるのはその事故の数に比して多くありません。民事もさほど多くありません。なぜか。

加害運転手が誠心誠意、謝罪して心の底から反省し、被害者側がそれを受け入れたとき、刑事裁判はたいてい「起訴猶予」か、「略式起訴(罰金刑)」で終わってしまうからです。民事も、保険会社が間に入って示談すれば、裁判ざたになりません。

従って、裁判所で取り上げる交通事故の裁判は、「悪質な交通事故」「運転手の誠意のなさ」などが際だったものばかりです。それの数としてみれば、世の中、悪質な交通事故が多すぎる!と痛感します。


刑事裁判の場合、交通事故は罪名が「業務上過失致死」(または業務上過失傷害)と「道交法違反」がくっついたものが多いです。中には「業務上過失致死」のみの場合もあります。また、数は多くないですが「危険運転致死傷」の罪名のものもあります。過度の飲酒、猛スピード、えぐい信号無視などのケースで適用されます。




その事故は、信号に従って横断歩道を自転車で渡り始めた50代男性が、左折してきた車にはねられ、死亡したというもの。(巻き込み事故です)運転手は近くの大学の先生でした。その先生が業務上過失致死罪に問われていました。

検察側の証人として証言台に立ったのは、被害者の妻。「事故後、一度挨拶に来たのみで、謝罪はない。その後49日にも来ない。線香を上げたことすらない」「事故の説明をしてくれといっても、『あまり記憶がない。夫が突然飛び出した』などというばかり」など、加害者の誠意のなさを涙交じりに語りました。そして「刑務所に入ってほしい」とも言いました。(こんなことを言わせる検察側もいかがなものかと思いますが)

その後、被告人質問にたった大学の先生は、「左を確認して左折したが、突然視界に自転車が飛び込んできた。ブレーキをかけたが間に合わなかった。突然の出来事で対応しきれなかった」と弁解しました。
検察官が「あなたは被害者遺族になぜ、事故の説明をちゃんとしなかったのか」「なぜその後、線香を上げに行ったりしないのか」ときくと、大学の先生は

 「事故について率直に自分の記憶のままに語らなければならないと思った」
 「顔も見たくないと言われたので、保険屋と相談し、遺族の感情を害してはいけないと思ってその後、行かなかった」
 「手紙は送ったが、返事がなかったので…」

この先生、ε-( ̄ヘ ̄)┌ ダミダコリャ…。と思いましたね。


そりゃあ、自分にとっても突然の事故だったかもしれませんよ。信号を無視したわけでもなく、スピードも出していなかったんだから。

でもね。


相手も、交通ルールを守って事故に遭い、その結果死亡したんだよ。わかってる?

交通事故で亡くなるほど理不尽な死に方はありませんよ。自分は何も悪くないのに、突然命を奪われるんだから。

生きてる方がつっけんどんな対応をしたら、どうなのよ? そりゃ、怒るだろうよ。

会いたくないと思われたって、自分のせいで亡くなった方に、線香を上げてお参りしたい、謝罪したい、という気持ちがわくのは、日本人として当然の感情だろ。保険会社の忠告を受けたから、その気持ちを押し殺しました、なんて、被害者遺族には言い訳にもなりません。そこを加害者である大学の先生には考えてほしかった。


この先生、

「記憶がないことは記憶にないとしか言えない。正直に言うことが誠意だと思っていた」

とも語りました。

そりゃ、学問ならそうだろうよ。でも、相手を殺してるんだぜ? 過失とはいえ。でもその理屈は「加害者」の理屈であって、被害者側にはなんの関係もない。そこを推し量れないようでは…人としてダメだろ。

そんな思いを抱きました。


この先生、執行猶予付きの有罪判決が出ました。まあ、罰金刑より重かったのはいいんですが、これで反省しますかねぇ。よくわかりません。ただ、判決後の、先生のホッとした表情がむかつきました。




ケース2 信号無視しようとして対向車線を突っ走り、対向車と正面衝突     

これは危険運転致傷で起訴されていたケースです。

その交差点ではすでに、赤信号待ちの車が長い列を作っていました。男は後ろに並ぼうとしました。

で、この男。急いでいたのか、信号を待つのがウザくなり、対向車線を走って、待っている車の前に出ようとしました。よくあわば、そのまま信号無視をして突っ走ろうと考えたようです。

そして、対向車線を時速20キロで走り、もうちょっとで交差点、というところで、青信号に従って交差点を左折してきた車と正面衝突。相手運転手に胸骨骨折などのけがを負わせたというものです。

この文章だけだとわかりにくいでしょうか。


____」   ___
           被害者→←男
--------      ----------------
             ←信号待ちの車
 ̄ ̄ ̄ ̄¬    Γ ̄ ̄ ̄ ̄



被害者は青信号に従い、AからX方向に左折しました。男は赤信号を無視し、対向車線を突っ走っていて、X地点まで進み、衝突しました。


で、この男、裁判では何を思ったか「自分はスピードをそんなに出しておらず、危険運転罪には当たらない!」と主張したのです。

対向車線とはいえ、気をつけて徐行運転していたから、「ことさら危険な速度で運転していない」ということのようですが…


故意に対向車線を走ること自体、


十分危険運転だよ!大馬鹿野郎!



少ない傍聴席からは、そんなオーラが漂いました。もちろん、こいつは被害者への謝罪などしてません。突然、左折してきた奴が悪い、と言わんばかりの態度でした。


こーゆーやつが車を運転していること自体、だめだろ。でも、実際いますよね。どう考えても危険な運転を繰り返す馬鹿。


事故を起こしても反省しないで、また事故を繰り返している。この運転手も過去に、「信号無視」「飲酒」「速度違反」の違反歴が過去5年間にありました。その3つが重なった段階で、免許取り消しで良いと思うんですが、そーなったら、こいつは無免許運転するんだろうなぁ…。それくらい、ダメな奴でした。


もちろん、こいつは実刑を食らいましたよ。当然です。

もう、一生運転ほしくないですね。社会の迷惑です。そう思いました。




今回は、私が見た交通事故の裁判のごく一部を書いてみました。


リクエストがあればまた、書きますが…読めば読むほど不快になること間違いなしです(^_^;


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2006年08月22日

振り込め詐欺のはがきに突っ込みを入れる

とうとうきました。実家のほうに。
今流行の「振り込め詐欺」はがきがです。最近ようやく取り寄せたので、思いっきり突っ込みを入れてみます。

oreorehagaki1.jpg
←1


←2



←3

←4



←5


←6




←7


←8








1:訴訟を起こされたとしたら、最終告知もくそもへったれもない。いきなり口頭弁論呼び出しが来る。意味不明の告知ですな。

2:本当の裁判になっていれば、付く番号は「事件番号」。訴訟番号なんて言葉はない。おまけに、どこの裁判所で起こされた裁判かも不明。地裁、簡裁で訴訟内容が異なることもあるのに。事件番号もこんな振り方はしない。

3:「未納」だから何? 本物なら何を求めるのかはっきりさせる必要がある。たとえば、「未払い料金請求」など。原告の主張は「訴状」に書かれている。その訴状の内容の要旨を噛み砕いてくれる役所は存在しない。

4:民事訴訟法のどの条文だ? 第一、訴訟で負けたら賠償命令が出るのは当たり前で、「考えられる」もなにもない。

5:そんなこといったって、訴状は受け取ってないもん。訴状は配達証明郵便で送られるので、わざわざこんな通告をする必要がないのにね。"(  ゚,_ゝ゚)バカジャネーノ"?

6:訴訟の取り下げは原告しかできませんよ。何で被告が取り下げられるの? どんな相談に乗るの? 訴訟について弁護士以外の人が有料で相談受けたりしたら、弁護士法違反でっせ。法律違反を積極的に行う公的機関? 

7:だから、取り下げ期限を告知する相手を間違えてるって。原告に言え。そういうことは。

8:あのー。法務局認定法人って何? 意味不明。それに、社会の授業で習いませんでしたか? 三権分立って言葉を。裁判は「司法」で、立法と行政とはまったく独立した機関ですよ。何で裁判の話に行政がしゃしゃりこんで来るの? おまけにフリーダイヤルを導入するようなサービスのいい役所は存在しませんよ!
 ついでに言うと、住所が麹町の役所のはがきが、なぜか「王子」の消印なんですが(爆)



冷静に考えると相当おバカなはがきです。

私はとあるルートで、本物の「裁判起こされたからヨロシク」通知書のコピーを入手しているんですが、悪用されるといやなので、ここでのアップは控えます。

まあ、一応本物の特徴を書いておくと、

1:はがきじゃなく、配達証明郵便で、裁判所からくる。
2:封書に書類がいっぱい。中に必ず「訴状」が入っている。
3:訴訟取り下げ相談なんて絶対に書いていない。
4:書類の発行日と発送日は同一

といったところでしょうか。


皆さんもご用心アレ!


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2006年05月18日

あの、セレブな方の窃盗事件?(と思ったのですが)

久々に裁判傍聴の話です。


えー、そろそろ書いても大丈夫かなと思うので…このネタを。






ある日、裁判所1階の開廷表で、刑事事件のコーナーのある事件に目がくぎ付けとなりました。

*開廷表=その日の全裁判の予定が書かれている。刑事なら被告人、起訴罪名、新件・審理・判決の別、裁判官名などが書かれている







えー、名前の読みだけをここに書きますよ。


























カノウ・ミカ












いやマジで。下の名前は漢字もまんま「美香」でしたよ。ハイ。
罪名は窃盗、窃盗未遂で「新件」でした。



まさか、あの胸デカセレブ女が、窃盗? そいえば、最近テレビに出てなかったぞ! 本人だったら面白すぎ!
と心の中で盛り上がり、これは絶対見なければと心に誓って、法廷に向かいました。







法廷で待機することしばし。傍聴席もいつもより、ちょっと人が多いぞ(爆)

そして、ついにその時間が。

法廷奥の関係者通路に通じる扉が「コンコン」とノックされ、開きました!




そして、姿を現しました! 女性刑務官に連れられ、腰縄手錠姿で現れた「カノウ・ミカ」が!









プロポーションは上から100−100−100といったところでしょうか…

年の頃は40くらい。グレーのトレーナーの上下を身にまとい、髪はぼさぼさで白髪交じりのロング。目つきも超ワル。

思いっきり持ち上げてみても、「使い古してくたびれた叶美香」とでもいいましょうか。






il||li _| ̄|○ il||li




イヤ何を想像してたんだオレ。っていうか、周りもみんな、同じ表情だぞ(^_^;







で、事件は

ある大型店で、とある主婦が買い物を終え、ショッピングカートに商品を積んで駐車場に向かう途中、すきを見てショッピングカートごと商品40点(計8600円相当)をかっさらい、そのまま自宅に向かって逃走した。

という内容でした。



しかも、同様の余罪も起訴され、さらに窃盗の前科4犯を有していたそうです。





被害者の主婦の方もびっくりしたでしょうね。

目の前で自分の買った商品をショッピングカートごとかっさらい、逃げていく女。

しかも、美香さま(爆)





あっけにとられるしかありませんよ。ハイ。







しかも、後日の判決で実刑を食らったというオチが付きました。



いや、世の中いろんな人がいるんだなぁと思った裁判でした。ハイ。




<今朝の一曲>T−SQUARE「GO FOR IT」


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2006年04月05日

段ボール箱一杯の…

久々に裁判傍聴の話を。(ホント久々ですね。ネタはあったんですが(^_^;)

「常習賭博」という珍しい罪名を見つけたので、見てみました。


*常習賭博罪は刑法でこう規定されています。
(常習賭博及び賭博場開帳等図利)
第186条  常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。
2 賭博場を開帳し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の懲役に処する。


事件は喫茶店のおばさんが麻雀ゲーム機を店において、店の客に百円玉を賭けさせ、麻雀の役の成否で勝敗を争う方法で賭博をした。という話です。
起訴事実は1カ月間の犯行でしたが、なんとこのおばさん、17年間も茶店でゲーム機賭博をやってたそうな。理由は借金返済のためで、ヤクザに金が流れることもなかったようです。


なんだかショボイ話だったなぁ、と思ってたら、検察側の証拠提出の段になって、検察官がなにやら重そうな段ボール箱を机にデン、と置き、中の袋を出しました。
















じゃら(重そうな音)













そう、入っていたのはゴミ袋にイッパイの
















100円玉(約40万円分)!










で、検察官が袋を掲げ(腕がプルプルしてました)、おばちゃんに問いただしました。


「これはあなたの店の麻雀機に入っていた100円玉に間違いありませんね?」


わかんねえよ! そんな大量の100円玉。

と思ったら、おばちゃんは


「ハイ」と返事。


工エエェェ(゚Д゚;)ェェエエ工 わかんのかよ! 適当に言わされているだけじゃ…



続いて検察官はこう言いました。


「これ、もういらないですね」


いや、100円玉とはいえ、40万円でっせ。いるに決まってるやん。

するとおばちゃんは、「ハイ」と返事。



おいおい、借金で困ってるんじゃ…まあ、賭博で有罪になれば、賭博で得た金品は没収されるんだけどね…。




結局、このおばちゃん、執行猶予ですみました。


とにかく、あの大量の100円玉が印象に残った裁判でした。




ちなみに、お客さんは罪には問われないものの、全員が警察の事情聴取を受けたようです。

ゲーム機賭博は手軽に楽しめますが、たれ込み一発で店の人は御用になり、客も警察に呼ばれることになります。

めんどくさいことがお嫌いな方は近寄らない方が無難なようですね。ハイ。

posted by こめろんぐ at 15:46 | Comment(3) | TrackBack(0) | 実録!?裁判傍聴日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月24日

衝撃的な無罪判決が出た。ずさんな捜査を厳しく指弾!

こんな重大事件で「無罪判決」です。殺人事件の実行犯とされた人が一審で無罪となるのは、異例ではないでしょうか。
ずさんな警察、検察の見込み捜査を見事に暴いた「冤罪事件」といえそうです。

「1歳児殺害」無罪判決 名古屋地裁
乗車痕跡なし 「自白信用性に疑問」
 平成十四年七月、愛知県豊川市の村瀬翔ちゃん=当時一歳十カ月=が殺害された事件で、未成年者略取と殺人の罪に問われた住所不定、元トラック運転手、K被告(38)の判決公判が二十四日、名古屋地裁であった。伊藤新一郎裁判長は「自白の信用性に看過しがたい疑念がある。犯人だと直接証明する証拠もなく犯罪の証明がない」とし、無罪(求刑・懲役十八年)を言い渡した。
 被告は、捜査段階でいったん犯行を自白したものの、公判では全面的に否認して無罪を主張していた。判決は、自白を「捜査官の誘導の結果である可能性を排斥できない」としており、捜査のあり方が問われそうだ。
 事件をめぐっては、目撃者や物証がなく、被告が「捜査員から大声で怒鳴られるなどし、恐怖を感じ(犯行を)認めた」とする自白調書の信用性が最大の争点だった。
 判決はこのうち、K被告が自分の乗用車で翔ちゃんを連れ去ったとした供述部分について「被告の車からは翔ちゃんの毛髪や衣服繊維は発見されておらず、車に翔ちゃんは乗っていないと推認される」と判断。
 また、検察側は連れ去りの動機について「被告が、翔ちゃんの泣き声に腹を立てたため」としていたが、判決は「あまりに短絡的で納得し難い。いきなり殺害を決意したという自白にも、不自然さがある」とした。
 その上で、判決は「供述は否認と自白を繰り返し、基本部分で一貫していない。秘密の暴露もなく、自白の信用性を肯定するのは躊躇(ちゅうちょ)される」と結論付けた。
 事件では、翔ちゃんが行方不明となった豊川市の駐車場で寝泊まりしていたK被告を、愛知県警が約九カ月後に逮捕。名古屋地検は被告が十四年七月二十八日午前一時十分ごろ、翔ちゃんの泣き声に立腹して連れ去り、三十分後に海に投げ落としたとして起訴した。
(産経新聞) - 1月24日15時42分更新



逮捕当時の報道をほじくってみると、こりゃスゴイですよ。各社の名誉のために、掲載紙の名前は出しませんが

 K容疑者は殺害前日の27日夜から、翔ちゃんが乗っていた車の近くに自分の車を止めて寝ていた。翔ちゃんの泣き声で起き、車外に出ると、翔ちゃんが開いていた車の窓から手を差し出したため連れ出した。
 殺害から約30分後、K容疑者は同駐車場に戻って再び寝たが、捜査員がその車のナンバーを控えており、その後事情を聴くと、「会社の人間と待ち合わせしていた」と供述。しかし、この会社が存在しなかったため、今月14日、豊川署に任意同行を求めたところ、「(翔ちゃんに)申し訳ないことをした」と殺害を認めたという。


 愛知県豊川市で昨年7月、ゲームセンターから連れ去られたとみられる1歳10カ月の男児が、4キロ離れた三河湾で水死体で見つかった事件で、県警が15日未明、殺人と未成年者略取の容疑で逮捕したトラック運転手K容疑者(36)は、「泣き声がうるさくて頭に来た」と供述していることが分かった。河瀬容疑者は、当時、男児が1人で寝かされていたワンボックスカー近くに止めた自分の軽乗用車内で寝ていたとされ、県警は、男児の泣き声で起こされたことに腹を立て、連れ出したとみて調べている。
  

 調べでは、K容疑者は事件当夜、ゲームセンター駐車場で、翔ちゃんが寝ていた車の斜め右前に自分の車を止めて寝ていた。翔ちゃんの泣き声で目を覚まし、頭に来たため、車で連れ出し、御津町の三河湾に行く途中、「また泣き出してうるさかったので海に突き落とした」という。
(中略)
 30代の同僚運転手の男性は「酒もたばこもやらない、おとなしい人間だが、何を考えているのか分からないところがあった」と話した。


 K容疑者の軽乗用車が同駐車場にしばしば止まっていたとの目撃情報をつかみ、事件直後に河瀬容疑者が駐車場に戻ったことも分かったため、3回にわたって事情聴取。K容疑者が勤務会社名を偽るなどしたことから、今月14日に4回目の事情聴取をしたところ、容疑を認める供述を始めたという


いやはや、見事な書きっぷり。完全に犯人扱いです。
いずれも、警察のリークに基づく「容疑者」報道です。


一応、犯人とは断定しないまでも、完全に犯人扱いです
ところで、刑事裁判は「推定無罪」の原則があります。有罪判決が出るまで、容疑者・被告人は「無罪と見なす」という原則です。
しかし、警察から情報をもらう報道機関はそうしたことは考えません。「裁判所が一定の条件に基づき発行した『逮捕状』により身柄を拘束されたのだから、犯人と疑う相当の合理的理由がある」というのが理屈です。
 
逮捕状っていうのは、結構簡単に出ちゃいます。逮捕後、処分保留で釈放されることも珍しくないわけですから。逮捕段階では慎重さを求められるべきなのです。
仮に筆が滑ったとしても、公判での被告の主張は丁寧に追うべきです。果たして、それができていたんでしょうか。

結局、公判で、これまでの報道内容は完璧に覆されてしまいました。

権力側の情報にすべてをゆだねてしまうと、こういう致命的といってもいい間違いを犯す。「発表報道」の弱点です。
 
 
おとなしい性格の被告は、圧力的に物を言う警察官の意見に迎合し、やってもいないことを自白し、事件の核心である「子供の殺害」部分について供述がコロコロ変わります。しかも、遺体の状況と供述が一致しない、と指摘された後にです。

しかも、目撃証言無し。被告の車内から髪の毛や衣服の繊維などの遺留品も全くなし。 
で、自白がとってもいい加減だったから、犯罪事実の立証をできたとはとても言えませんでした。

「被告が供述した後に裏付けられた事実は存在せず、いわゆる秘密の暴露が含まれていない。自白の信用性に看過しがたい疑問がある」
「(被害者の毛髪や指紋などの物的証拠が見つかっていない点について)被害者が車に乗っていなかったと推認できる」


判決はいい加減な捜査と、自白偏重の捜査を厳しく非難しました。この日に釈放された被告は、マスコミの記者会見に応じ、
「皆様のおかげで無罪になりました。ありがとうございました。本当にうれしい気分です」
とコメントしました。

本当はもっと、いいたいことがあったでしょうね。


2008年11月追記

この時点で無罪判決を受けたK被告は2007年7月6日、名古屋高裁で懲役17年の(求刑・懲役18年)の逆転有罪判決を受け、2008年9月30日、最高裁が上告不受理を決定。確定しました。

でもこの一審判決は強烈な無罪判決に変わりはありません。ひょっとすると最新になる可能性もあるのでは、と思ったりします。
posted by こめろんぐ at 22:18 | Comment(4) | TrackBack(2) | 実録!?裁判傍聴日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月21日

万引きでも実刑! トホホ事件の法廷

裁判所の中でも、比較的軽微な事件を扱うのが「簡易裁判所」(簡裁)です。簡易といっても、裁判はきちんと行われますよ。法廷もきちんとあります。ただ、傍聴席がショボイのが玉に瑕(^_^;

この簡裁、実はトホホ事件が満載です。

先日傍聴した「窃盗」被告事件。被告人の名前が「自称○○○男」となっていました。本名わかんないのかよ!とか思いつつ、判決を傍聴したのですが、どんな事件かと思いきや






















缶ビール2缶(498円)の万引き1件。



…一応、念のため申し上げておきますが、被告人のおじさんは、ちゃんと手錠をして、両脇を刑務官に抱えられて出廷してきましたよ。
万引で逮捕されるのはよくある話ですが、まさか正式起訴までするとは…


事件の内容を聞くと、どうやら、
ホームレスのおじさんが昼間、なけなしの金をはたいて発泡酒を買って飲んだんだけど、全然足りなくて、もっと飲みたいから、●ンキホー●に行ってビールをポッケに入れちゃった。それで御用になっちゃったということです。


どこの誰兵衛か、というより、このトホホなおじさんに、心の中でダメ出しをしちゃいました。





で、出た判決は…
























懲役1年6カ月(実刑!)












工エエェェ(゚Д゚)ェェエエ工





ビール2缶の万引きで実刑かよ!
いや、驚きました。厳しいなぁと。





判決理由を聞くと、このおじさん、すでに同種事件で4回もムショに入っているとか。
で、実は出所したばかりで、行くところもなくてホームレスに。しかも、このとき持っていた金は、刑務作業による報賞金だったそうです。
それが尽きて、なおビールが飲みたかったという動機について、裁判官は「短絡的、自己中心的で酌量の余地はない。規範意識の欠如も甚だしい」と断じました。




いや、ごもっともですが、このおじさん、出てきたらまた、やるんじゃないでしょうか…。


むしろ、おじさんの出所後、働けるところとか、住めるところをきちんとフォローしてあげないとダメダメなんじゃ…。
いや、犯罪者は犯罪者なんですが、こういう人にはきちんと手を差し伸べてもいいんじゃないかと、ちょっと本気で思いました。娑婆にいる時間よりムショにいる方が長くて、ムショでは税金で飯を食っている…。

きっとこういうおじさんは、全国にたくさんいるんでしょう。

法務省のホームページによると、平成15年の刑務所収容者数は7万1,889人! 定員の116%だそうです。平成5年から増え続けているとのことで、全国で刑務所の増設が急ピッチで進んでいるとか。


こういうちっちゃい犯罪者をきちんとフォローし、ムショ行きになりそうな人をきちんと働かせた方が税金の節約になるんじゃないかなぁ、と思った法廷でした。

posted by こめろんぐ at 19:21 | Comment(1) | TrackBack(0) | 実録!?裁判傍聴日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月17日

危険なた・め・い・き

ちょっと前のエントリ「六甲ぉおろ〜しに〜さぁっそぉぉと〜♪」に続く、法廷傍聴失敗談パート2です。



今回はマジでしゃれになってない出来事かもしれません。はい。










「傍聴席ではみだりに発言しない」

これ、裁判傍聴の常識です。守らないと、傍聴席からつまみ出されます。
今回の話は、声こそ出さなかったんですが、思わず声が出そうになった話です。



ある、殺人事件の法廷でした。
被告人は「自分はやってない」と起訴事実を否認していたため、裁判は長期化し1年以上も続いていました。



で、私が失敗をやらかしたのは、被告人の身内の証人尋問を行ったときでした。



事件の公判には、被害者の遺族の方も大勢見えていました。検察官の質問は被告人の仕事や生活状況などでした。被告人の身内は、被告人をひたすらかばい立てし、検察官が非常に厳しい突っ込みを入れ続けて、追いつめていきます。法廷内は重苦しい空気が蔓延し、異常なくらいの緊張感に包まれまていきました。







こういう雰囲気、私は苦手です。自分もどんどん沈んでいきそうで。で、本当に息苦しくなってきたんです。なぜか。








で、ちょっと深呼吸して落ち着こうと思い、少し大きく、息を吸いました。














ちょうど、証人が被告人をかばい立てするような言い訳をいっていた場面です。













息を吐き出す際、






「ほふぅぅぅ〜」

と大きな呼吸音になってしまい、法廷中に聞こえてしまったのです。














それを聞いた検察官がすかさず、
















「今、あなたの被告人をかばい立てする証言を聞いた遺族席の方から、深〜い、ため息がしたのが聞こえましたか?(゚Д゚)ゴルァ!!」

と、証人を追及し始めたのです!













?(゚Д゚≡゚Д゚)?
その「ため息」ってひょっとして、




俺ぢゃん(゚д゚lll)














「ちが〜う! それは赤の他人の俺だぁぁぁ」






声を大にして心の中で叫びましたよ。







やべえ…マジやべぇ
















そして、後ほど行われた検察側の論告で、なんと








「遺族席から裁判記録に残るほどの深いため息が聞こえるなど、遺族の処罰感情は峻烈である」







との文言が盛り込まれたんです…















工エエェェ(゚Д゚;)ェェエエ工

超やばいよォォォ((((;゚Д゚)))ガクブル

















家帰ってから、速攻で裁判所に手紙を書きましたよ。ことの顛末はこうでしたって。
だって、そのために被告人の量刑が重くなったら、いくら何でも目覚めが悪いですよ。たとえ殺人犯でも。
ちゃんと裁判長に届いてくれよ、と願いながら。





判決は怖くて聞きに行けませんでした(^_^; 多分、あのため息は量刑に盛り込まれなかったと思います。
そう信じたいです。ハイ。










今回は私の失敗談で、ある意味最もヘビーなものを紹介してみました。



次の失敗談はもうちょっと、ライトな話になると思います。いつエントリしよっかなぁ…

posted by こめろんぐ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 実録!?裁判傍聴日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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